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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第四章:戦火の海へ。

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魔王様と忘れたい過去の過ち。


 結局、その後ショコラは本当に明け方まで部屋から出て来る事はなく、翌日メイド達の姿を見る事も無かった。


 サクラコ曰く、「当分使い物にならんな」だそうだ。


 当のショコラに関してはなんだか妙に元気で肌艶が良い。


 俺は心底お前が怖いよ。


「……何見てるの? 大丈夫、おにぃちゃんが相手だったらもっと優しくするから。あの時みたいに」


 俺はショコラの言葉にひっかかる物を覚えたがひとつだけ心当たりがあったりなかったりしたので無視した。


 無視したかった。


「おいおいお前らまさかそういう関係になってるのか……? 一応兄妹なんだろう……?」



「誤解だ! 俺は何もしてない!」


「うん。おにぃちゃんは何もしてない。したのは私の方。三人いっぺんにごちそうさまでした」


「待って、お願いだからその件を蒸し返すのはやめて。私は何も覚えてないから」


 心当たりがあるとしたらあの時。ドワーフ達の町でのお酒をしこたま飲んだ夜。


 朝起きたらアシュリーとめりにゃんとショコラが一緒に寝てたんだったっけ……。


 ダメダメ! アレはもう思い出しちゃダメなやつだから。


 そう、あの日私は何もしてないし何もされてないし何も覚えてません。

 そういう事にしておかないと。


 冷静になれ。大丈夫。


「おにぃちゃんが忘れたくっても私は忘れられない夜になったよ? 今までで一番こーふんした」


「ほんとお前黙れ」


 精神的にかなり動揺しているのは隠せないが、なんとか冷静を保つ。

 大丈夫、【俺】は何もしてない。

 ならとりあえずセーフだ。それでいいじゃあないか。


「そういう事にしておきたいならそれでもいい」


「……頼む」


 そのやり取りを見ていたサクラコが若干俺をかわいそうな子を見るような目で見て来たのだけはちょっと惨めだった。


 でもそんな事を引きずる俺では無いのだ。あんな事は記憶の彼方に追いやってやるべき事をやるのだそうだそれしかないそうしよう。


「とにかく、だ。まず幾つかカミヤシロってやつを見ておきたいんだけどここから一番近いのはどこだ?」


「ああ、それならこっからすぐの所にあるぜ」


 サクラコの言う場所にショコラも心当たりがあるらしく、俺は大人しく二人の後について歩き出す。


 ほんの十分もしないうちに長い階段が視界に入り、それを登りきると開けた場所に出た。


 大きなトリイというらしい物があって、何やら手を洗う場所なのか水が出ている所があったりした。

 奥には平べったい建物があり、そこには大きな鈴がぶら下がっていて紐が垂れ下がっている。


 何やらいろいろ作法があるらしく、手を洗ったり……これは清めるという概念らしい。

 奥にある妙な長方形の箱に小銭を投げ入れて紐を振り、鐘を鳴らして手をたたき礼をする。



「さて、まずはここだな。一応やるべき事やっておかないと暴くにしても気まずいが、お賽銭を入れた以上大抵の事は許して頂こう」


 お賽銭というのは先ほどの小銭の事だろうか?

 いまいちここの文化が分からないが、本人が意外と協力的なのは助かる。


「たのもーっ!」


 バァン!!


 突然サクラコが賽銭箱とかいう箱の向こうへひょいっと飛び込み、建物の扉を思い切り開け放った。


「師匠、罰当たり」


「うるせぇなぁ。っていうか……なんだよ。ここにはご本尊があるって話だったのに何もねぇじゃねぇか」


「……ほんとだ、何もないね」


 ショコラと一緒に中を覗き込むものの、何かがあるようには見えない。


「でも……こりゃあおかしいぞ」


「どうかしたのか?」


 サクラコは俺の問いにすぐには答えない。顎に手を当てたまま、その小さな部屋の床へゆっくり円を描くように視線を移動させていく。



 ……もしかして。


「おいメディファス。生きてるか?」


『返答しかねます。我は生きてる、と言っていいのでしょうか?』


「そういう哲学的な話はどうでもいいからさっさとここの足跡を調べてくれ。……そうだな、数と時期が分かれば助かる」


『了解』


「へぇ、その剣はそんな事まで出来るのか。プリン……じゃなかった、メアが持ってた頃はただの役立たずだったのにな」


『……故障中の話をされても困ります』


 あ、こいつちょっと怒ってる。


『怒ってなどおりません』


「ムキになってやんの」


 相変わらずこいつからかうと面白いな。


『……言いたい事は山ほどありますが、今はまず検索結果を。確かにここには中央奥に何か台のような物が置かれていた形跡があります』


「お、やっぱりここにはご本尊があったって事か」


『それは分かりません。何か台があったという事だけ。そして、それを数名の男と一人の女が運び出しています。足のサイズ、跡の残り方から見て間違いないでしょう。実際に運び出したのは男、女性は指示をしていたか、ここへ連れて来られていたかのどちらかかと』


「へぇ、そんな事まで分かるのかその剣」


『メディファスです』


「おぉ、悪かったメディファス。しかし……ここが誰かに先を越されてるってのはいろいろマズいんじゃねぇの?」


 確かに、サクラコの言う通りかもしれない。

 ここに何があったのか知らないし、大した物ではなかったのかもしれないが、誰かがわざわざここにあった物を持ち出している事が問題だ。


『ちなみに時期については一年以上二年未満と言った所でしょう』


 あれ、関係ないのかな?

 思ったより前だが……。


 そこで俺は思い出した。リンシャオの言っていた言葉を。

 確か既にニポポンはある程度調べている、と。


 時期的な事を考えるとその時に既に持ち出されていた可能性が高い。


 どうやらこれは完全に外れのようだ。


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