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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第三章:神と勇者と滅びの国。

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聖女様だいばくはつ。


「で? ヒールニントはどうしたいの?」


「とにかく探したい人がいるので……あの獣の所まで連れて行ってください!」


 メアさんは無言で頷き、私の腰を後ろからがっしり掴んだかと思うと浮き上がって、またあの恐怖体験が始まる。


「こ、こんな障害物多いところでそんなにスピード出さないで~っ!!」


「あたりゃしないわよ! それに当たったってしにゃしないわっ!」


 死なないのはアンタだけだろうがっ!!


「あっ、ヒールニントが当たって大変な事になったら出来る限り治してあげるからね」


 信用できるかぁ~っ!!


 なんて、口が裂けるまでは言えない。

 万が一何かに当たって口が裂けてしまったら遠慮なく言わせてもらおう。


「ほら、あそこで暴れてる奴が言ってた獣よ」


 キキーッ!! っと急に止まるもんだから私は振り回されて、メアさんが掴んでるお腹の所がぐえーっ! ってなって吐きそう。


「ヒャァーッハハハッ!! オラオラどんどんかかってきやがれ皆殺しダァァァァッ!!」



「……メアさん、何あれ……?」


「さぁ……魔族かと思っていたけれど……人っぽい何か、かしらね?」


 そう、メアさんが言う様に、向こうで暴れている何かは人型をしていて、顔からお腹あたりまでは人間のそれ。手足はもふもふの毛がびっしり生えていて、頭には獣っぽい耳、あと尻尾がすっごく沢山もっふり生えてる。

 ちょっと可愛い。


「オラオラオラオラァっ!!」


 もふもふの人は手が大きく、鋭い鈎爪がついていて、それを振り回しては古都の民を薙ぎ払っていた。


 ここの住人は本当にみんな何かしらの機械的な武器を武装しており、それを振り回したり魔法でもふもふの人に攻撃をするものの、あまり戦闘力の高い人ばかりというわけではないみたいで次々と倒れていく。


 それでも中にはとっても強い人が紛れているみたいでもふもふの人も手こずっていた。


 少し離れた場所で悲鳴が響き渡り、私はそちらの方へ無意識に走り出す。


「ちょっとヒールニント!?」


「メアさんはそっちをお願いします! 大丈夫、生きて帰りますから!」


 私はその場を離れ、先ほど声がした裏の通りへ走る。


「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!」


 また!


 ここに、もしかしたら……!!


 細い通路を通りぬけ、その先の大通りに飛び出ると、ちょうどセスティ様が古都の民の一人を切り捨て、どこかへ飛び去る所だった。


「……違った」


「シンニュウシャハッケン。ハイジョハイジョ」


 背後から突如濁った声が聞こえ、振り返るとそこには銀色のぶよっとした人型が立っていた。


「あっ……」


 今にも私に振り下ろそうとしている銀色の腕。

 形状がぶよぶよ変化して平べったい形になり、私を圧殺しようと迫る。


 それをかろうじて横に飛んで逃れる。

 勢いでそのままごろごろと転がり、建物の壁にぶち当たって止まった。


「がはっ……こ、こんなところで死ぬわけには……!」


 私は再び先ほど通ってきた通路へ逃げる。

 チラリと振り向くと、ぶよぶよは形を変えて細長いミミズ状に変化して私を追いかけてきていた。


 メアさんの所まで辿り着ければ、なんとか……!


 路地を飛び出し、先ほど居た場所まで戻るがメアさんは遠く頭上であのもふもふと戦っていてこちらの事になど気付く気配がない。


 自業自得だ。

 私は自分勝手にロンザやコーべニアの元を飛び出し、メアさんを身勝手に巻き込み、そして勝手にレオナさんを助けて……。

 それでこんな事件に巻き込まれて、セスティ様のいいつけも守らずに勝手に行動してメアさんまで振り切って何をやっているんだろう。


 結局その結果がこれだ。


「メっ、メアさん……っ!」


 息を切らしながら彼女を呼ぶけれど、戦闘音が響き渡っているこの状況で私に気付く訳がない。


 セスティ様も先程全く違う方向へ去っていった。


 こんなよく分からない物に殺されるなんて、絶対に嫌だ。意地でも逃げ切って見せる。


 そう思うけれど……。

 私はどんくさくて、足も遅いしこんな瓦礫だらけの道を走ってまともにスピードが出るわけなかった。


「あっ……!」


 ちょっとした段差に躓いて派手に転んでしまう。

 まずい、早く逃げないと、このままじゃすぐに追いつかれてしまう。


 立ち上がると、天井からの明かりが遮られる。

 私の頭上に再びあの平べったいのが振り下ろされてくるんだ。


 足が痙攣して動かない。

 うごけ、うごけっ!


 ……?


 しかし、いつの間にか私の頭上には照明の明かりが戻っていて、私が潰される事は無かった。


 いったい何が……?


「振り返るな。そのまま聞け」


「っ!? ハーミット様!?」


 咄嗟に振り返ろうとしたらがっしりと頭を鷲掴みにされた。


「えっ、えっ??」


「振り返るなと言っただろう」


「離してっ! 離して下さい~っ!」


「こら、ジタバタするんじゃねぇよ……ほんとに気の抜ける奴だなぁ……」


 ハーミット様だ、ハーミット様だぁぁぁっ!!


「ハーミットさまっ、はーみっとさまぁぁぁぁっ!!」


「こら、暴れるなって。クソっ、お前どうした!? 姫ちゃん達と一緒に居て変になっちまったのか??」


 困ってる? ねぇ困ってる!?


「私っ! ヒールニントはっ! 貴方をっ! 困らせに来ましたぁぁぁぁっ!」

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