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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第三章:神と勇者と滅びの国。

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聖女様は挟まれて魔女になる?


「メアさーん。どこですかぁー?」


 ……あれ、反応がない。


「あいつはこの辺りで待ってるって言ってたのか?」


「あ、はい。この辺にいるから迎えに来て欲しいって言ってました」


 もしかしてセスティ様を連れて来たのがバレて逃げちゃった……?


 セスティ様は顎に手を当てながら辺りをうろうろして、突然「うわっ」と声をあげた。


「どうかされましたか!?」


「……いや、なんか知らん人が寝てる」


 あぁ、そっか……メアさんは暇を持て余すと寝ちゃうんだ。


「セスティ様、それメアさんです」


「えっ、マジで? ……そっか、確かレオナって子の姿になってるんだったか。じゃあこんな見た目の子なんだな……なるほど」


「……すぴー」


 気持ちよさそうに寝てる。この人達が今の魔王と元魔王とは思えないよなぁ。


「おい、起きろ」


 セスティ様は寝っ転がってるメアさんの脇腹あたりをげしげしと蹴った。


「あ、あの……あまり乱暴な起こし方は……」


「起きろっつの」


 どげしっ!!


「ぶはぁっ!!」


 今度はお腹を思い切り踏みつけた。さすがに今のはきついと思う。


「な、何!? 何が起きたの敵襲!? 殺す!?」


「落ち着け、俺だよ」


「あぁ、なんだ貴女か……って、なんでここに居るの? まさか……ヒールニント……?」



 セスティ様の後ろに居た私に、メアさんの視線が突き刺さる。


「ご、ごめんなさい……いろいろあってバレちゃいました」


「安心しろ。誰にも言ってないから」


 メアさんは大きくため息をついて、諦めたかのように「で、どうする気?」と呟いた。


「どうもしねぇよ。とりあえず俺はディレクシアからレオナの捜索依頼を受けてるんだ。協力してもらうぞ」


「レオナって誰よ」


 メアさん……自分が誰の姿をしてるのかくらい覚えておこうよ。


「じ、冗談に決まってるでしょ? この姿の人間よね確か!」


 かなり焦ったように取り繕うところを見ると、どうやら今思い出した、という感じのようだ。



「お前には言いたい事がいろいろあるけどよ。とりあえず今回はその件は無しだ。俺は何も言わん。それより、そのレオナは王都に居るから一緒に来い。囮をするんだろう?」


「この子を狙ってる奴等も王都に居るのかしら?」


「それはまだ分からんが、本人の身を確保しておかないと何かあってからじゃまずいからな」


「はいはい分かったわよ……私だけでも十分なんだけど……」


「こっちも依頼受けてるって言っただろ? そういう訳にはいかねぇんだよ」


「じゃあむしろ貴女だけでやればいいじゃない。貴女が動くなら私なんて必要ないでしょう?」


 メアさんがそこまで言うって事はやっぱりセスティ様はすごい人なんだろう。

 何せ魔王を撃退した人だから。


 ……えっ?

 確かセスティ様が魔王で、元魔王がメアさんで、その前の魔王がセスティ様の奥さんだからえーっと……。


 セスティ様とメアさんってどういう関係?

 もしかしてセスティ様が撃退した魔王って……。


「いや、今回は手伝って貰うぞ。だってその外見になっちまってるんだからな。そこまでやって放棄して逃げるとかねぇだろうよ。責任もって最後まで役に立て」


「何よ偉そうに……! まぁ、手伝ってやらなくもないけれど? でも本当に私の事は誰にも……」


「言ってねぇし言わねぇよめんどくせぇ女だなお前は……」


「なっ、私より貴女の方がよほど面倒な状況でしょうがっ!」


「誰のせいだと思ってやがる!」


「自業自得でしょ!?」

「いいや、お前のせいだね!」

「私じゃなくてあいつのせいでしょうが!」

「そいつを復活させたのはどこの誰でしたっけね!?」


「「キーッ!」」


 おでこがくっついちゃうくらいに顔を近づけて、二人は激しく言い合いを続けた。

 たっぷり十分くらいかな?


 私は……なんだか身の危険を感じたので少し離れた所で落ち着くのを見てた。

 絶対に割り込んじゃいけないって気がしたんだよね。


「はぁ……はぁ……で、何の話してたかしら?」


「だから王都行ってレオナを探して、狙ってる奴等をボコるんだよ」


「あら、ボコるのね」

「ボコるさ」


「それは楽しそう」

「だろう? 一緒に来いよ」


「当然!」


 ……何これ。

 結局最初と話が何も変わってないのに、今度はメアさんかなり乗り気になってる。


 相手をボコるかどうかって話そこまで重要な事なの?


「ほらヒールニント! 何してるの? さっさと行くわよ!」


「あ、はーい。今すぐ行きます」


 私は二人の元へてこてこ駆け寄り、その手を握りしめると、何かを言う間もないまま王都の前に立っていた。


 だからさ、この人達よく分からない所でやたらと時間を浪費する癖に、いざやるってなったら早すぎるんだよなぁ。


「モタモタしないの! 置いて行くわよ!?」


 さっき私の方がずっと待ってたのに……。


 でも、私を手招きする笑顔のメアさんや、それを苦笑いで見つめるセスティ様、その二人を見ているとなんだか心が温かくなってしまい、どうでもよくなってしまった。


 元魔王と人間がこうやって口喧嘩したり笑いあえたり出来るなら、もうこの世界は大丈夫だろう。


 ……あ、元魔王と魔王だった。


 よく考えたら今私物凄いメンツに紛れてる。

 魔王と元魔王に挟まれてしまった。


 魔王、聖女、元魔王という並びはちょっと面白い。自分で聖女、なんて言うのはもう恥ずかしいけれど。


 いっそ魔と魔に挟まれて私も魔女になっちゃおうかな。

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