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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第三章:神と勇者と滅びの国。

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聖女様は前言を撤回したい。


 二人に何も言わずに宿を飛び出してきてしまったものの……。


 いったい何をどうやって探したらいいんだろう……。


「失敗したかなぁ……」


 コーべニアみたいに転移魔法覚えておけばよかった。

 探すにしても情報が無ければどこ行っていいか分からないし……。


 世界は広いからその中から一人を探すってとんでもなく大変な事なんじゃ……。


 今からでも引き返して二人に協力してもらう?

 コーべニアの転移魔法で……。


 いやいやいや。私は何を考えてるんだろう。


 そんなふうに弱い意思で飛び出してきたわけじゃない。


 一生懸命考えて考えて、悩みぬいて決めた事なんだから……。


 私があの二人に再び会うのは、ハーミット様に思いを伝えた後だ。

 私のワガママを貫いて、それが決着したら……ちゃんと報告しよう。


 さて……どうしようかな?

 まずどこへ行こう。


 私達は気が付いた時ナランの街の宿に居た。

 意味が分からなかったけれど、そうだったのだから仕方ない。

 その後しばらくハーミット様を待っていたけれど戻る気配も無くて、あちこち探しながらリャナまで移動し、リャナの宿屋にしばらく滞在していた。


 今は当てもなく飛び出してきちゃって、一人で街道を歩いているんだけれどこれがどっちに向かっているのかはよく分からない。


 そもそも歩いて行こうとしてる時点で間違ってる気がする。


 馬車でも使っちゃえばよかったかなぁ。


 今は魔物も人前に姿を見せなくなって、噂によるとディレクシアが魔物の親玉と話をつけたとかなんとか……。


 もしそれが本当なら人間は魔物と戦う日々から解放される事になるけれど、うかつにこっちから魔物を攻撃する訳にもいかなくなっちゃうのでは?


 その辺の事を詳しく知りたいけど……。

 リャナのプルットっていう偉い人が街の住民に説明会みたいなのを開いてたのはその事なんだろうなぁ……。


 私は宿に泊まってた旅人だし、別にいいかなと思って説明会にはいかなかったけど。


 ……でも本当に魔物を一切見かけないし、平和になったなぁと思う。

 街道を歩いていても以前は魔物の気配とか少しは感じたものだったのに、今では本当に静か。


 今は一人だから安全な旅の方が助かるけれどね。


 ふと、街道脇に生えている大きな木の方を見ると、木の麓から足が生えていた。


「……何あれ」


 ちょっと気になって、忍び足で近寄ってみると、どうやら木の陰で誰かが横になっているだけだったみたい。


 ……まさか死んでたりしないよね?


 私はそんなものに関わっている暇なんてないし、先を急がなきゃ!

 ……と思ったけど、先を急いでどこへ行くというのだろう?


 あてもないなら急いでも意味がないって事で、一応生死くらいは確認しておいた方がいいかも。


 もし死にそうな人とかだったら私の力で回復してあげられるかもだし。


 おそるおそる木の向こう側を覗いてみる。


「うわぁ……綺麗な人……」


 木の麓で横になっていた人は、どうやらそこで休んでいただけのようで、ちゃんと胸が上下している。


 寝てるだけなんだ……。

 って、こんなところで?


 その人はとてもきれいな銀色の髪が地面に広がって、お人形のように整った顔。

 妖しさもあるけど艶やかな黒いドレス……。


 見るからに冒険者って感じじゃなかった。


 どこかのご令嬢かな……?


 でも寝てるだけなら心配はないかと、街道に戻ろうとしてふと疑問が頭をよぎる。


 こんなお嬢さんが一人でこんな所に寝ているって不自然すぎる。


 何か事情があるのかな? どこかから逃げてきて疲れて休んでるとか?


 ……でもその綺麗な身なりと寝顔を見る限り、危機が迫っているようには見えなかった。


 ……起きたら事情を聴いてみようかな。

 起こすのがなんだか勿体ない気がして、私はその傍らに腰かけた。


 木陰になっていて、ほんのりとした気持ちのいい風が吹き抜けていく。


 ……ここでお昼ご飯食べちゃおうかな。


 私はリャナを出てくる際、鞄に押し込んできたサンドイッチを取り出し、むしゃむしゃと頬張った。


 ハーミット様もちゃんとご飯とか食べてるかな?

 また無茶ばかりしてないといいんだけれど……。


 どこか新しい街とかに行けば勇者の噂とかが手に入るかもしれない。


 あ、これ我ながら結構おいしい。

 もうちょっと作ってくればよかったかな……。



「ねぇ、それ一つ貰える?」


「ほへっ? ふぁ、ふぁい!」


 急に話しかけられてサンドイッチが喉に詰まりそうになった。


 いつの間にかあの女性が上半身を起こしていて、寝起きが悪そうに頭をくしゃくしゃやりながら私に空いている方の手を差し出してくる。


 私は思わすその手にサンドイッチを乗せてしまってから、自分で食べたかったな……なんて事を考えてしまった。


「ありがと。……むぐ、これは……なかなかイケるわね」


「ほんとですか? 良かった。せっかく私のおひるごはん分けてあげたのに不味いって言われたら悲しいですもん」


「ん……ごちそうさま。ここ数日何も食べて無かったから助かったわ。……ところで貴女誰?」


「私ですか? 私はヒールニントって言います。今は勇者様を探して旅をしていて……何かご存知ありませんか?」


「さぁ、勇者の事は全然しらないわ」


 思ったよりもとても落ち着いた雰囲気の女性だった。

 その雰囲気が、尚更妖しさとミステリアスな感じを醸し出してる。


「ところで貴女はどうしてこんな所に?」


「……あぁ、逃げてきたのよ。とっても居心地のいい場所から……あまりに後ろめたくてね」


 そういう彼女はとても悲しそうな目をしていた。

 人にはいろいろ事情があるんだろうな。

 なんだか、この人とは仲良くなれる気がした。



「お名前、聞かせてもらってもいいですか?」


「ふふっ、いいわよ。私の名前はメアリー・ルーナ。以前は魔王やってたわ」


 ……前言、撤回してもいいですか?



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