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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第二章:勇者の定義。

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姫魔王は闇に閉ざされる。


「まったく次から次へと儂とセスティの新婚旅行を邪魔しおって! ここが最終目的地だったんじゃぞ!? なのになんじゃなんじゃ古都の民じゃと? 知った事かーっ!」


 やばい、なんかめりにゃんがめっちゃキレてる。っていうか唐突過ぎて困惑してしまった。



「大丈夫だって。この件が落ち着いたら今度は仕事のついでじゃなくて、ゆっくりどこかへ行こう、二人でさ」


「……う、うぬ……セスティがそういうなら……」


「ふーん、君達はそういう関係性なんだね。これは面白いなぁ。実に面白い……特別に二人揃えたくなってしまったよ」


 ザラは蜃気楼のように、その身体を揺らめかせながら再び目の前に現れた。


「儂はお主に何が見えているかを確認できておらぬから何も信じておらんし許さんからな!」



「……まったく。そんな物には興味などないと言っているのに」


 見えてるかどうかはともかくとして、一切の興味がないと言われる事自体も女性としては傷付くのかもしれない。


 見られるのは嫌だけど見たくもないと言われるとへこむ……複雑である。



「お前はステラを使って何をしようとしてるんですか!?」


 女性陣はいろんな意味でご機嫌斜めのようで、ナーリアも怒りに満ちた顔をしている……。

 いや、ナーリアの場合その怒りはステラの件か。


 確かにわざわざ少女をさらって何をしていたのかは気になるところだ。


「僕の研究に興味があるのかい? 聞きたい? ねぇ聞きたい?」


 聞きたいけどこいつの無邪気な笑顔を見てるともう全部気にせずぶん殴りたい。


「そんなに聞きたいなら教えてあげてもいいんだけど……」


「貴様リーシャに何をした!」


 今までずっと黙して成り行きを見守っていたイムライが鬼のような形相でザラに叫ぶ。


 どうしてそこでリーシャが出てくる?


 ……そうか、リーシャは既に死んでいる人間だ。それが……幼い姿ではあるが間違いなく生きて、きちんと自我を持っている。


 あの屋敷はザラが研究用に使っていた事を考えると、そこで発見されたリーシャがザラと無関係であるとは考えにくい。


 嫌な予感しかしない。


「リーシャ? 誰だいそれは」


「とぼけるなよ……あの子は、お前が隠れ家にしていた家から保護したんだぞ! 知らんとは言わせない!」


「……なんだって? じゃあ突然いなくなった実験体一一三九号はお前が盗んだのか?」


「実験体……? 盗んだ? 貴様はあの子を一体なんだと……!」


 イムライが怒るのは無理ない話だ。既にリーシャはこいつの娘も同然だもんな。


「アレは実にうまくいっていたんだぞ!? 僕がほんの塵のような細胞から培養して培養してやっと完全体を作り出したというのに」


「死者を復活させたとでも言うのか……?」


「オリジナルが死んでるかどうかなんてどうでもいいんだよ! 僕にとって大事なのは! やっとうまく培養出来た実験体をお前が盗んだという事だ! 返せ! すぐに返すのならばあの女は解放してやってもいい!」


「……貴様がどういう奴なのかよく分かったよ。これ以上話しても無駄なようだ……貴様は生きていてはいけない。きっとこの先多くの悲劇を生むだろう。その前に……!」


 イムライの気持ちは分かるが、それを黙ってみている訳にはいかない。


「イムライ。お前の気持ちは分かったからひっこんでな。荒事は俺達に任せておけよ。普通の人間が付いてこれるような戦いじゃなくなるぞ」


 俺の言葉にイムライは顔を歪めて、「しかし……」と抵抗したが、やがて俺が譲る気が無い事に気付いたのか、悔しそうに後方へ下がった。


「すまない……よろしく頼む」

「任せろ」



 こんな所で一般人が戦闘に参加したら本当に死んじまうからな。


「何をごちゃごちゃと……返す気が無いのなら力尽くで取り戻すだけだよ。僕はあまりそういう身体を張ったやり方は好きではないけれどね……こんなに不愉快なのは久しぶりだよ」


「うるせぇ。お前があいつの事気に入らねぇように俺達もお前の事が気に入らねぇんだわ。本当は聞きたい事も山ほどあるんだけどよ、とりあえずぶっ殺す」


 そこで、また予想していない出来事が起きた。

 再びザラが何かを操作すると、辺りが真っ暗な空間へと変わる。


「こんな所へ連れてきてどうするつもりだ?」


 ……結構まずいな。

 集団戦闘において暗闇での乱闘となると被害が拡大する可能性がある。


 俺が万が一誰かをぶん殴ってしまったら相手は確実に死ぬぞ。


「ふふふ……まずは君を始末しておかないと安心できないからね」


 ザラの発言に違和感を覚えた俺は、魔法で明かりを灯し周囲を見渡す。


 しかし明かりは漆黒の闇を照らすばかりで誰一人の顔すら浮かび上がる事はなかった。


「おいお前ら! ちゃんと居るか!?」


「くっくっく……探しても無駄だよ。ここは完全なる闇の世界。導かれた者以外何人たりとも訪れる事ができない僕の特別製さ」


「お互いを認知できなくなる物ではなく、ここに居るのは俺とお前だけという事か?」


「理解したかね? 助けは来ない。絶望の中死んでいくがいい」



 ……ははっ。

 つい笑いが止まらなくなりそうだった。


 こいつはわざわざ俺が大暴れ出来るように街とは関係の無い別の空間、それも俺だけを呼び出してくれたってわけだ。


「これは貴方にお礼をしなくちゃいけないわね♪」

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