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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第二章:勇者の定義。

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姫魔王とリュミ〇。


「刀身に変な顔を映し出すのやめろ!」


『泣きたいのに泣く機能が付いていないのです』


「ま、まぁセスティ。とにかく街をくまなく散策すればいいのじゃろう?」


『肯定。近くに寄りさえすればこちらで反応をキャッチできるでしょう』


「……まぁいいだろう。何も方法がないよりは余程マシだ。じゃあ頼むぜ相棒」


『御意』



 そこから先はとてつもなく地味な作業の繰り返しだった。


 ひたすらメディファスを探知機にして街を隅から隅まで練り歩く。

 ただそれだけ。


 そうやって歩いている間にもイムライは街の人々から沢山話しかけられ、手を振り返し、時に激励され、お礼を返し……奴の人気の高さが伺えた。


「お前、やっぱりこの街の要職員か何かなのか?」


「要職員っていう言い方も珍しいな。でも似たような物かもしれない。今この街は誰かが先頭に立って動かないと無法地帯になってしまうからね」


 本当はこんな面倒な事やりたくないんだけどね。とイムライは続けた。


 それでも放っておくことの出来ないタイプの馬鹿なのだろう。


「しっかしどこにいるんやろなー? もう街の半分以上虱潰しに調べとるやん?」


 ろぴねぇが緊張感の無い言葉を吐く。そろそろ集中力が途切れてくる頃合いか……。

 こういう時が一番危ないんだよなぁ。


 さっさと見つけてどうにかしないと……俺達はいいとしてナーリアの精神披露が心配だ。


「大丈夫か? ナーリア」


「私は大丈夫です。それより……早くみつけてあげないと……ステラが……」


 俺はナーリアの頭をぽんっと軽く叩き、今すべき事を告げた。


「嘆くな。きっと今もステラはお前を信じて待ってるはずだよ。だから、助けに行くというよりは……早く迎えに行ってやろうぜ」


「姫……そうですね。私に出来る事を頑張ります!」


 少しはいい顔になったかな?

 隣でニヤニヤしてるろぴねぇとかムスっとしてるめりにゃんとかは気付かない振りでやりすごそう。


『むむっ……主』


「見つけたか!?」


『肯定。近いです……この角を右に曲がって下さい』


 俺達はメディファスの案内に従い、路地の角を右に走る。

 その先を左、そして右、もう一度右……。


『そこです。その建物の地下だと思われます

 』


 ……どうしたもんかね。


「おいおいこれはリュミナさんちじゃないか」


 イムライの言葉を聞いて一瞬、とんでもない聞き間違いをしそうになった俺はビクリと身体が震えてしまった。


「……セスティ?」


 右腕に温かい感触を感じ、そちらを見るとめりにゃんが心配そうに俺を見上げている。


「なんでもない。知り合いの名前に似てたから吃驚しただけさ。イムライ、ここは知り合いの家なのか?」


「ああ、この街ではまだ新入りだがこいつの作るパンは美味いんだ」


 新入り。それはこの街に住むようになってそんなに時が経っていないという意味だろう。

 玄関の上の所に小さな看板が出ており、【ブレイブベーカリー】と書いてあった。


 おいおい。

 俺は流石にこれはないだろうと可能性を頭から消した。


 万が一にもここに住んでいるというリュミナって奴がリュミアだったとしたら、こんな肋骨な名前は使わないだろう。


「……ちなみになんだがここに住んでるリュミナって人はどんな人物なんだ?」


「あの人は……多分ザラとは関係ないと思うぞ」


「いや、そうじゃなくてさ。外見とかの話だよ」


「それが何か関係あるのか? 背が高くて金髪が綺麗な整った顔立ちの人だよ」


 おいおい。冗談だろう?

 まさか本当にリュミアはナランでひっそりパン屋をやってるっていうのか?


「おーいリュミナさん! 居るかい? ちょっと話があるんだ開けてくれないか?」


 こいつ……もしザラが中に居たらどうする気なんだ?


 ……いや、ある意味これが正解かもしれない。

 万が一ザラが中に居たとしたら、とるパターンは二つ。

 居留守を使って完全に無視をするか、リュミナって人を脅して何事もないかのようにふるまうかだ。


 居留守を使う場合そのまま踏み込まれる可能性もあるから、多少危機感があるならそれはやらないだろう。だとしたら……どちらにせよこの扉を開けるにはまず問いかけるのが一番なのかもしれない。


「……どうやら留守のようだね。困ったな……勝手に入る訳にもいかないし」


 ……俺の勘違いだったようだ。


 とりあえず人の家だからそいつに許可を取らないと入る訳にはいかないとかいうバカ真面目な性格で声をかけただけかもしれない。


「おい、あそこの穴はなんだ?」


 ドアの右下に小さな扉のような物が付いていた。とはいえ人間が通れるようなサイズではない。


「ああ、リュミナさんは確か猫を飼っていてね。といっても住み着いてしまったので専用の入り口を作ってあげたとかなんとか……」


 背が高く金髪が綺麗で動物にも優しい。

 ……こりゃ可能性が高まっちまったじゃないか。


 仮にここにリュミアが居たとしたらどうする?

 俺は当時のようにリュミアを引っ張り出して勇者として祭り上げたいと思っているのだろうか?


 自分の感情の居場所がよく分からない。

 ただ、もしリュミアだとしたら……。


 いや、今はそれよりも。


「らいおん丸、出番よ。中を見て来なさい」

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