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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第一章:新たな門出。

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隠者はただただボコりたい。


「どうしたきつねこ。お前の力はそんなものか?」


「うがぁぁぁっ!! うぜぇうぜぇうぜぇぇぇ!! なんで切れねぇんだお前! あぁ……ストレスが、ストレスがたまるぅぅあぁぁ!!」


『魔力量が上昇していくね……。私は知らなかったのだがどうやら金毛九尾というのは魔法重視で戦う荒神だったのかもしれないね』


 その割には随分暴力的だがな。


「死ねよっ! 死んでくれよぉぉぉ!! 真っ二つにしたいんだよ死体にしたいんだよぉぉぉっ!!」


『む……これは少々まずいね。精神汚染が強くなっているよ』


 どっちのせいだ? 剣か?


『おそらくそうだろうね。金毛九尾化はきちんと使いこなしているようだ。どちらかというとこの剣が未完成なのだろう』


 なるほどなぁ。それなら話が早い。


「オマエ、イイカゲン、シネヨォォ!!」


 きつねこは更に剣から出ている紐を数回、いや……いつまで続けるんだっていうくらい何度も何度も引っ張った。


 ギュルルォォォギャギャギャギュルルギュリリ!!


 耳に悪そうな甲高い金属音が響き渡り、複数の属性力がバチバチと喧嘩を始めた。


 おいおい。うまく競合できねぇのかよ。


『やはりまだ未完成なのだろうね。あれではそのうち爆発するぞ』


「ひゃはっ♪ ヒャハハハハッ!! イイ……スッゴク……イイ♪」


 きつねこは脱力したように手足からだらりと力を抜き、目はとろんと焦点があわず、半開きの口からは涎を垂らしていた。


 もはや人間である事を辞めちまいたいのか?


『そろそろ助けてあげたまえよ』


 仕方ねぇ。とりあえずあの剣は取り上げるぞ。


『しかし先ほどまでとは様子が違うから一応注意したまえ』


 奴の剣があらゆる属性の力を周りに垂れ流しながら高速回転を続け、やがてその剣から触手のような物が幾つかにょろにょろと生えて来てきつねこの腕にずぶりと刺さった。


「ウ……ウガァァァッ!! ガァッ!! ウオォォォォッ!!」


 おいおい……とうとう人語をしゃべらなくなったぞ。早急になんとかしないと精神汚染どころじゃ済まなくなりそうだ。


『ならばいい方法がある』


 ああ、分ってる。どうすればいいのか、自然とその対処法が頭に浮かぶ。


 あの触手できつねこから無理矢理魔力を吸い出して破壊力に変換しようとしているんだろう。

 無理矢理引っこ抜いたら何か問題が出るかもしれない。

 とりあえずきつねこにはただのにゃんこに戻ってもらおう。


 なぁに、死にはしないさ。


 一週間くらい寝た切りになるかもしれないがな!


「ガァァァァッ!!」


 完全に理性を失ってしまった彼女がただ勢いに任せてその剣を振るう。


 俺に対してはその爪で攻撃する方が効果があるというのに、そういう冷静な判断は一切できなくなっている。

 完全に剣に操られてしまっている状態だろう。


 その身体から魔力を吸い取りつくすまで止まらないんだろう。逆に言えば、暴走しても魔力が尽きれば止まる。

 九尾化してしまった状態ではその終わりがいつやって来るか分からないが。


 だから俺がやるべき事は……。


 きつねこが振り下ろした剣をノーガードで受ける。

 顔のすぐ横、左肩から首の付け根近辺にギャリギャリと回転する刃が食い込んでいくが気にしない。


 痛いけど死にはしないだろう。


 ある程度この身に刃がめり込んだのを見計らって傷口を塞ぐ。

 塞ぐだけではなく、その傷口を固めた。

 ただ傷を固めたというよりはその周囲の空間ごと完全に停止させた。


 つまり、回転刃も動きを止め俺の身体にめり込んだ状態で固まる。


 きつねこはそれに困惑し、なんとか引き抜こうともがくが……無駄だ。


 姫の身体にかけた特殊な、変化を認めず元の状態に戻す魔法もこれの応用である。


 だがこちらの方が強力に直接的に変化を拒絶する。その代わり自分にしか効果が無いため、敢えて体内に取り込む必要があった。


 そして、身動き取れなくなったきつねこと剣から、一気に魔力を吸い取る。


 きつねこの魔力がすい尽くされればどのみち剣も動きを止めるので、この時点で俺の勝ちは決まっていたのだが……。


 彼女よりも剣の方が早く音をあげた。

 同時に両方から力を吸い取ったが、剣がきつねこから吸い出すよりもはるかに速く俺が剣の魔力を空っぽにした為、きつねこよりも先に剣が動きを止めたのだ。


 彼女の腕に刺さっていた触手のようなケーブルを抜け落ち、その手から離れた剣はがちょんがちょんと音を立てながら元の形へ戻っていく。


「う……うぅぅ……」


 まだきつねこ状態の彼女は地面に膝と手を突き呻いた。


「おい、そろそろ目を覚ましやがれこのアホにゃんこ!」


「うぅ……うん? こ、ここどこだっけー? 私、何やってたん」


 ぼかり。


「いでっ!」


 ぼかりぼかりぼかりぼかりぼかり。


「いでっ! いでででっ!! ちょ、やめろ! もうちゃんと分かったから! 思い出したから! いたいいたい!」


『君、実は楽しんでるだろう?』


 ふふっ……当たり前だろ?




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