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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第一章:新たな門出。

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隠者でも驚く事はある。


「さぁて、この草原抜けたらすぐゴルダイの丘だよ。てかここの草鬱陶しいなぁ」


 確かに荒れ放題で俺の腰くらいの高さまである草が生い茂ってるからこの中に何かがいても分からないだろう。


 俺は分かるけれど。


「にゃんこ、それ以上先に行かない方がいい」


「はぁ? 先に行かなきゃ丘に着かないだろ?」


 そういう事じゃないんだが……まぁいいか。

 見てろって言われてるしなるようになるだろう。

 死んだら埋めてやるから安心して戦え。


「うわぁっ! なんか踏んだっ!!」


「ギュミュミュミュッ……!」


 どうやら草むらに潜んでいたのは魔族……じゃ、ないなこれは。

 やっぱり俺の考えが正しかったようだ。


 この先には何かが居る。

 そいつがこの化け物共を造り、使役してこの周辺を守らせているんだろう。


 どごん! と大きな音がしてにゃんこの居たあたりの地面が陥没した。


「あっ、あわわわっ!! 吸い込まれるぅぅっ!!」


 目の前でにゃんこの身体がずぼずぼと地面にめり込んでいく。

 どうやら地中へ引きずり込もうとしているらしい。


「頑張ってな。俺はちゃんと見とくからしっかり倒せよ」


「鬼っ! 悪魔っ!! こんな時くらいか弱い乙女を引っ張り上げてくれたっていいだろ!?」


「どこにか弱い乙女が居るんだ? 俺には心当たりがないよ」


 それに残念だが、鬼ではないにせよ実際悪魔なんだよ。


「くっそがぁぁぁっ!!」


 にゃんこの足元の地面の陥没がさらに酷くなる。

 いや、それどころの話じゃない。一気に俺の足元近くまで地面がクレーター状に削り取られた。


 一瞬敵の能力かと思って警戒したが、どうやら違うらしい。


『……これは驚いた。この子には何かがあると思ったが……』


 おいおい……だからこいつの身体はあんなに丈夫だったのか?

 俺が殴っても大してダメージになってなかったのを思い出し、あの時にもう少し考えるべきだったと後悔した。


 ……後悔? いや、後悔はしてないか。

 むしろいきなりこんなものを見せられたら楽しくて仕方ないじゃないか。


 いいぞ、にゃんこ……お前最高だ。


「この姿にはなりたくなかったのに! 私に本気を出させた事後悔させてやるからな!!」


 今目の前のにゃんこは全身が真っ赤に染まっている。

 先程の攻撃はにゃんこの物だったらしい。

 方法は至って簡単。地面を殴っただけ。


 クレーターになった地面から慌てて這い出るように銀色のモグラみたいなのが出て来た。


「キケン! キケン! シンニュウシャ! ハイジョ!!」


 再びそいつが地面に潜るが、にゃんこは目を閉じ地中を移動する音を聞き分けている。


「ここだぁっ!!」


 にゃんこは地面に腕を突き刺し、その鋭い鈎爪でモグラを鷲掴みにし、引きずり出した。


 にゃんこの身体から赤色は引いている。

 アレは変化の前兆、という事だろうか?


 今のにゃんこは、にゃんこのくせにお尻の辺りから太くて長い黄金色の尻尾が幾つも生えていて、手も肘から先は毛むくじゃらになり、掌は人の頭くらいのサイズはあるだろうか。

 鋭い鈎爪がギラリと光る。


 そして、頭……頭頂部の左右からぴょこんとフサフサの耳がもう一組生えていた。


『素晴らしい! 彼女はかなりレアな存在だよ。どうやらシャオランの研究はほぼ完成していたようだ』


 ロンシャンのあの糞皇女が、盟約を破りあれこれと画策していたのは知っていたがこんなものまで作り上げていたとは驚きだ。


 そうなるとこいつの親父さんっていうのは、連れ子とはいえ自分の娘を実験台に使った糞野郎じゃねぇか。


 やむにやまれぬ事情があったのかもしれないが、結果的にはにゃんこはどうみても人外だ。


『金毛九尾……美しい』


 にゃんこのくせに狐だったとは驚いたよ。


『気付いているかい? あの姿になった途端に魔力量が跳ね上がった』


 分ってる。あいつは魔法が使える訳じゃないみたいだが、その魔力に形を与えて実体化させることは出来るようだ。


 にゃんこが掴み上げたモグラをもう片方の腕で上空へ殴り飛ばし、落下してくる所を身体からぶわりとにじみ出た青い炎が襲い掛かる。


『凄いな。普通魔力をきちんと練り上げて、イメージを固める為に魔法という術式を使うわけだが……この子は感覚だけでその魔力に形を与え自由自在に操っている』


 確かにこんなのは見た事がない。

 アルプトラウムの記憶にすらないのだから本当に相当なレアケースだ。


「燃えろぉぉっ!!」


 一瞬でモグラは銀色から真っ黒に変わるが、にゃんこはそれで満足せず背中から大剣を引き抜き即変形させる。


 ジャリジャリジャリ!!

 再びあのギザギザ刃が高速回転を始め、今度は氷属性を帯びて切り口を即座に凍り付かせていく。


 にゃんこはひたすらモグラが細切れになるまで肉片を追いかけ切り刻んだ。


「ひゃぁぁぁぁぁっはぁぁぁぁっ!! 死ね死ねしねシネシネしね死ねしねぇぇぇぇっ!!」


 そこまでやる必要無かっただろうがよ。


「足りねぇ……暴れたりねぇよぉぉぉっ!! 次だ、次出てこい!! ……なんだよ、誰もいねぇのかよぉぉぉっ!! もうお前でいいい!! 刻ませろぉぉっ!!」


『おや、今度は私を切り刻むつもりらしいぞ』


 めんどくせぇ……。


 けど、こいつは面白い事になってきやがったぞ……!


 ほらやっぱり待ってりゃいい事あるんだよ。何もしなくたってなるようになるのさ!


『ふふふ……今回ばかりは否定できないね。さぁ、このきつねこ娘に身の程という物を教えてやりたまえ』


「刻ませろぉっ! 私を! 楽しませてくれぇぇぇっ!!」


「悪いが楽しむのはこっちだ。態度の悪いにゃんこにはお仕置きが必要だな!」


『きつねこ娘』


 うるせぇなぁもう。

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