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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第一章:新たな門出。

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隠者もたまには素直になる。


「ごめんな。辛気臭い話して……不思議だな、お前相手だと話しやすいよ。いろいろ知ってるから話が早いっていうのもあるけど」


「たまたま知ってる話だっただけだよ」


「それでもさ。誰も信じてくれなかった事をちゃんと分ってくれる人がいるって、それだけでも嬉しいんだ」


 そんなに買いかぶられても困るんだけど。


 それに、俺と同化する前の話とはいえロンシャンにエンジャードラゴンをけしかけたのはアルプトラウムだしなぁ。

 いや、実行に移したのはメアか……。


 俺も一応こいつの仇って事になる。

 それだけならともかく、そもそもあの国がメアに目をつけられたのは俺の責任だ。

 あそこの第一皇女はもう少し賢い女だと思ったのだが思ったよりも阿呆で自分の事しか考えられないつまらない女だった。

 本当ならロンシャン第一皇女であるシャオランに授けた知識で作り上げた魔導兵器を使ってユーフォリアと戦争が始まる予定だったのだが……。


 しかし、ここぞという所であの女は俺すらも滅ぼそうと愚かな考えに至った。


 だからこそ、メアに危険な兵器を量産している国がある、と伝え、案の定危険視したメアはエンジャードラゴンを送り込み、ロンシャンは滅びた。


 まだ試作段階だった魔導兵器ではエンジャードラゴンには敵わなかったのだ。


 まぁ、そのドラゴンも姫に全部殴り殺される事になるわけだけれど……。


 こいつの爺さんと父親が死んだのはきっとあの混乱の最中だろう。

 わざわざ教える意味も無いから言わないけれど、心の中でくらいは一応謝っておくか。


 すまんな。


 全ては思っていたよりも下らない存在だった第一皇女を恨んでくれ。


 そういえばあの国には第二皇女が居た筈だが、彼女は今どうしているだろうか。

 直接会った訳ではないが、シャオランの態度を思い出す限り、彼女よりは優秀だったようだし手駒としては面白いのではないか。


「おいってば。聞いてるか?」


 おっと、随分思考に集中してしまった。


「悪い。ちょっと考え事しててな。さて……それなりに休めただろ? そろそろ先へ進もうぜ」


「おう♪ この仕事を完了させたら美味い物食うんだ! 腹いっぱいな。そしたらあんたにも奢ってやるからよ!」


 にっかりと歯を剥き出しにして豪快に笑うその顔は、ヒールニントとは違い品が無い。

 が、嫌いではない。


「じゃあ美味い酒を期待してるよ」


「おう任せとけっ!」


 この、どこまでも自分の為だけに突っ走る姿というのはシャオランに通じる物があるが、二人の間には明確に違う所がある。


 にゃんこはひたすら自分の為に行動するが、前向きに、自分の力だけで現状を打開しようとしている。


 それに引き換えシャオランは嫉妬に塗れ、すべてを利用し、世界を手中に納めようとした。

 しかも、ただ一人、自分の妹を蹴落とす為だけに。


 世界を手にしたいと思う理由が妹を蹴落とす為。自分の方が優れてると証明する為。


 どこまでも愚かしい。


 本質的にはどちらかというとメアに近い物があるが、メアは必要以上に神を頼ろうとはしなかったし、ただひたすら自分を高めようとしていた。


 勿論失敗もしていたが、メアという存在は何をするにも見ていてとても面白かったし、楽しい世界を作る為に必要な人材だった。


 それくらいには気に入っている。

 あれほどの逸材はそうそう出会えるものではないからメアを姫側に持っていかれたのは少々勿体なかったかもしれない。


 ……いや、面白い相手が居るのなら味方よりも敵対している方が楽しめるか。


 いずれその時が来るだろう。

 今から楽しみだ……。


「なんか悪い笑い方してる……」


 おっと、いかんいかん……。思考が外に漏れるなんて俺とした事が……。


「ほんと不思議な奴だな……そういえば私ってあんたの名前もまだ知らないんだった。名前教えてもらってもいいかい?」


「構わないよ。俺の名前はハ……いや、カルゼって言うんだ。忘れても構わねぇよ」


 ハーミットで名乗ろうかと思ったけれど、流石に有名になりすぎた名前だから俺が何者なのか気付かれてしまうだろう。


 別にバレた時はバレた時だけど、わざわざ教えてやる必要はない。


「カルゼ……うん、覚えた。いい名前じゃんか」


「そりゃどうも」


 実家を飛び出してすぐの頃はよくカルゼという名前を使っていた。

 姫と出会ってから俺はデュクシと呼ばれるようになって、勇者扱いされてからはハーミット。

 どの名前を名乗ろうか迷ったけれど今の俺がデュクシを名乗るのはおこがましいだろう。


「なんだ? 自分の名前あまり好きじゃないのか?」


 そんなふうに見えたのだろうか?


「別にそういう訳じゃない。普段名乗らない名前だから自分で違和感があるだけだよ」


「って事は私は警戒されてるのか?」


 少しだけしょんぼりとにゃんこが悲しそうな顔をした。


 本当に素直というか、感情が表情に直結してるあたり分かりやすくていい。


「警戒、とは多分違うかな。俺は結構お前みたいなやつ嫌いじゃないよ」


「う、うん……ありがと。どうせまた私の思い違いだろうからあまり喜ばないでおくけど嬉しいよ」


 これは素直な気持ちだったんだがなぁ。

 気持ちを相手に伝えて理解してもらうというのは思いのほか難しい事のようだ。


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