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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第六章:明と暗。

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魔王様とわずかな希望。


 私はしゃがみ込んでリナリーと目線を合わせ、頭を撫でながらゆっくりと話しかけた。


「いい、リナリーちゃん。お姉ちゃんの言葉をちゃんと聞いて」


「ひっく……うぅ……」


 彼女の幼い心では、この現実を受け入れる事が出来なかったのだろう。


「とても大事な事なの。聞いてくれる?」


「えぐっ…………うん……」


 まだボロボロと涙を流しながらだが、私の言葉に耳を傾けようとしてくれている。

 とても強い子だ。


「ライゴスさんはね、シロを助けてあげたんだよ」


「……たす、ける?」


「そう。シロはね、悪い人に化け物になっちゃうように何かされたの」


「……だから、あんなに大きいの……?」


 この子は本当に賢い。

 状況をちゃんと理解している。


「そうだよ。悪い人に身体を弄られて大きな化け物にされちゃったの。自分の意識もなんにもなくなっちゃって、ただ人を殺したり大暴れするだけの化け物に」


「ひどいよぉ……シロがかわいそうだよ……」


「そうだよね。だから仕方なくライゴスさんがシロを……やっつけるしかなかったの」


「でも、でもシロはシロだよぉ……らいごす君だって……」


「そう、ライゴスさんはシロの友達だったの。だから、シロが自分の意思に反して暴れたり、リナリーちゃんを傷付けるのを止めたかったんだよ。シロがね、大好きだったリナリーちゃんを傷付けるなんて事があったらシロは悲しむでしょう?」


「……うん。私が化け物になっちゃってたらシロを傷付けちゃったかもしれないって事だよね? ライゴス君はそれを止めてくれた……の?」


 驚いた。この子、もう自分の病気とシロのこの異変が同じ物だって理解してる……?


「そう。だからね、リナリーとパパさんの為、そしてシロの為にね、ライゴス君はとってもつらい事を仕方なく……分かってもらえるかな?」


「悲しいし……辛いし、涙とまんないよ……だけどらいごす君が悪いんじゃないって事は分かる……だけど、だけどぉ……」


 リナリーは再び瞳を涙でいっぱいにして私の胸に飛び込んできた。


「よしよし。辛いよね。悲しいよね……ライゴスさんもね、友達がこんな事になっちゃって本当に苦しいんだよ。リナリーと同じくらい、悲しいんだよ」


「うん……らいごす君ごべんなざい……」


「いや……我は……何も、できなかったのである……」


 ライゴスさんはその無機質なぬいぐるみの顔で、だけれどとても悲しさの溢れる表情を見せた。


 途端に、ぽんっと軽い音と共に全身ぬいぐるみに戻ってしまう。


 自分の手を見つめて項垂れるその姿は哀愁が漂っており、なんて声をかけていいものか……。


「こんな手では抱きしめてやる事もできないのである……そんな資格も、ありはしないが……」


 そんな事まで呟いてしまう物だからこちらが泣きそうになってしまった。


 いつの間にか私の腕の中で眠ってしまったリナリーを、ゆっくりと家の中に連れていきベッドに寝かせて再び外に出る。


 あの子もいろんな事が一気に起きて頭が追い付かないんだろうな。

 この精神的な疲労はあの年齢には厳しすぎる。



 私は改めてシロだった物……いや、最後のこの子は間違いなくシロだった。

 シロとして死んだのだ。


 だったらシロ、と呼ばなければ失礼だろう。

 改めてシロを蝕んでいた蟲を探す。


 一緒に死に絶えていればそれでよし、もしそうでなければ念のために始末しておかないといけない。


 ヒルダさんの話だと、身体を乗っ取るという事だったが、最後の瞬間ちゃんとシロの意識が戻っていた事を考えると脳に寄生した訳ではないだろう。


 そうなると……。

 ……!?


 この身体は……。


「まだ生きてる! 意識を失っているだけで、まだ息があるわ」


「なんだと? まさかこいつ再生してまた暴れ出したりしないだろうな!?」


 アシュリーが慌てだす。確かにその可能性は有るけれど、私はもっと重要な事に気付いてしまった。


 今度は見ながらは出来ない。

 私の記憶とイマジネーションが全てだ。


 出来るだろうか?

 いや、違う。アレを使えば……。


 私は、私が引き出しと呼んでいるアーティファクトにアクセスする事で今までの記憶を呼び出す。


 引き出しの過去の記憶については上手く閲覧が出来ないし、記憶が戻ったらと考えると怖いのでなかなか本格的な実験は出来ていないのだが……。


 直近の記憶ならば……。


 よし、これで少なくともそれらしくは出来る。


 後は……。

 私は自分のすべき事を理解し、残る皆に「絶対にシロに手を出さないで!」と伝えて王都へ転移。


 街並みを走り回って必要な情報を探した。

 幸いにも人通りは多く、これならすぐに見つかるかもしれない。


 どんっ!


 慌てて走っていたので誰かにぶつかってしまった。


「ごめんなさい!」


「だ、大丈夫でさぁ。ん、お……おめぇさんは!?」


「ごめん急いでるの!」


 なんだか私の事を知ってる感じだったけど相手はフードを被っててどんな顔か分からなかった。


 今はそんな事どうでもいい。

 早く見つけないと……。


 ……居た!!


「ごめんなさい! ちょっとだけ見せてもらっていいですか!?」


 ……よし……よし!!


 これで準備オッケーだぞ!

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