表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第五章:廃都ローゼリア。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

241/637

ぼっち姫、おっさんとラブ。


「え、え?? ちょっと待って下さい! じゃあママさんの息子がプリンで私もプリンで私がママさんの娘でいや息子でつまり私は男確定!?」


「お、おおお落ち着きな! あわてるんじゃないよ! とにかくちょっと酒でも飲んで気を落ち着かせな!」


「女将さんも落ち着きなって! お酒なんて飲ませちゃだめでしょ!? どう見たって未成年じゃん!」


「そ、そそそそうか! そうだね。でもわたしの息子はもうとっくに成人してるからこの子も実は見た目より歳なんじゃ……」


「えー!? 私もしかして本当はおっさんなの!?」



 もう大惨事。

 わちゃわちゃと店の入り口でしばらくそんなやり取りが続いた後、なんとか落ち着いてきたママさんが私を奥にあるママさんの部屋へ案内してくれた。


「状況を整理しようか。あんた……えっと、プリンは記憶がなくて、だけど勇者と一緒に行動していたらしく、きちんとした身分証もある」


「そうですね……」


「んでわたしの息子はプリンで、勇者と一緒に旅をしてた……だけどある時期から息子の話をあまり聞かなくなってね、心配してたんだよ」


 じゃあ……その頃に私が、おっさんからこうなったっていう可能性があるって事?


「私……おっさん?」


「き、気にしちゃダメ! 私の息子それなりにだけど外見は整ってるって聞いてるから! もしかしたら魔法とかでその姿になってるだけかもしれないだろう!?」


 ……一瞬で頭が冷静になった。


 魔法で、この姿に……?

 その可能性はあるのか?

 あるのかも。

 いや、それっぽいなぁ……。


「じゃあ私、どういう理由かはともかく男からこの体になっちゃって、記憶なくしたりしたもんだから自分の事を女の子と勘違いしてるって事……? ヤバい、どう考えてもヤバい奴だ……」


 自然と瞳に涙が溢れてくる。

 情けない……男なのに、何も覚えてないからって自分を女と思い込んできゃぴきゃぴしていたなんて……。


 いや、きゃぴきゃぴはあまりしてないけど、してないけどつまりはそういう事でしょ?


 泣かずに居られる?

 いや、無理だ。


「もう! ……私も悪かったけど、そんな事気にしたらダメだよ! プリンはプリンなんだろ? いまいち私も実感はわかないけど、あんたが男だろうが女だろうが私の子供なんだったらそんな事関係ないさ」


 そういって再びママさんは私を、今までで一番強い力でぎゅっと抱きしめて、だけど優しく頭を撫でてくれた。


 ママさん、というか……、


「ママ……?」


「ずぎゅーん!!」


 びっくりした! ママさん、というかママというか……彼女が突然変な大声をあげたからビクっとしてしまった。


「なぁユリ……」


「なんです女将さん」


「今の私の気持ちわかるか?」


「めっちゃ分かります」


「だよな」


「ですね」


 よくわかんないよなんのやり取りなの!?


「決めた! もうあんたが本当に私の子供かどうかとか男だとか女だとか関係ない!」


「えっ、えっ??」


「もう今この瞬間からあんたはプリンセスティ! このキャンディ・セスティの娘だよ!」



 唐突ですが、私にママができました。



「……おいおいなんだよその面白そうなイベントはよぉ!? なんであたしを呼ばなかったんだ!」


 宿屋に戻って眠り、朝帰りしてきたサクラコさんにママの事を説明したらこれだ。

 自分からどっか行って帰ってこなかったんだから呼びようがないじゃん。

 そもそも偶然だったんだから予測なんてできなかったよ……。



 あの後ママとお互いの事をいろいろ話した。ニポポンって国で倒れてた事から今ここにたどり着くまでの話。

 ママは何も言わず、頭を撫でてくれた。


 ママもいろいろあったみたいで、プリン……えっと、一人息子が小さい頃に家を飛び出して、その後を追いかけた娘が行方不明になって、夫婦仲もどんどん冷めていって……。


 もともと浮気性でドスケベな旦那に愛想を尽かして離婚を突き付け、家から追い出したらしい。


 それが私のパパって事になるんだろうけど、今どこで何をしてるか分からないんだって。


 ママが言うには、二人は昔かなり名の知れた冒険者だったらしいから、パパ一人だけでも生きていけるだろうとの事。


 エロ親父っていうのはなんかやだけどどんな人なのかちょっと気になったりする。


 いつかどこかで会う事があるだろうか?


 とにかく、パパを家から追い出した後、パパが作った借金がある事が分かって家を売るしかなかったんだって。


 それで家も無くなっちゃったママはちょっとした手持ちをやりくりしながらお金を転がして、ここで店を持つまでになったんだってさ。


 商売の才能ありすぎじゃない?


 どっちにしても苦労人だけどね……。



 ずっとここに居てもいいんだよって言ってくれたけど、私一人の旅じゃないからってちゃんと説明して、お別れしてきた。


 勿論永遠の別れなんかじゃなくて、また会いに来るからって伝えた。


 最後にもう一度お互い抱きしめあったんだけど、それが一番暖かくて優しくて、私はまた少しだけ泣いてしまった。



 なんだかずっとずっと、私はこうしてほしかったような気がしていた。

 自分を見てほしかった。

 優しく抱きしめてほしかった。



 何も覚えてないのに変だよね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓☆クリックで作品へ☆↓
sample
「転生はもう結構です!」
作者最新作!異世界転生TSファンタジー☆彡

小説家になろう 勝手にランキング
ワンクリックお願いします♪
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ