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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第四章:収束点。

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変態弓士は認識を改めたい。


 王国内の様子を見る限り、確かに平和な空気が流れているし人間と魔物が共存しているし、魔王もどうやら私が知っているメアリー・ルーナとはどうやら違うみたいだ。


 今の魔王は魔物からの信頼も厚く、自分から人間をスカウトに行くくらい共存に前向きで、どうやらみんなに手料理を作って振舞ったりしてるらしい。


 今はメアに案内されて食堂に来ている。


 そこではでっかい猫みたいな魔物とアヒルみたいな顔の魔物が鍋とおたまを器用に使いながら料理を作っていた。


 なかなかに盛況で、厨房なんかは人手不足になるとメアが参戦して頑張ってるらしい。


 ……なんだかなぁ。

 こんな風景見せられてしまうとどうやっても魔物を憎む事が出来なくなってしまう。


 もともとそんなに憎い訳ではなかったけれど。

 私はメアが憎かっただけで……。


「はい、とりあえず料理幾つか出してもらったから皆食べてみて。一応何が足りないとかあれば感想も聞きたいかな♪」


 用意されたのは焼き魚、煮魚、焼き肉、スープ、野菜炒めなどなど。


 どれも少し薄味でパンチ不足感は否めないけれど、それでもとても優しい味がした。


「……美味しい。と、思います」


「ほんと!? 人間が食べて美味しい料理なら安心だよ。これからディレクシアに流通関係手伝ってもらえればもう少しスパイスとか調味料の類も仕入れられるからまだまだ伸びしろあるしね☆」


 私の簡単な感想に対して子供みたいににっこり笑う魔王。


 私は一体どうしたらいいんだ。


 心の底から憎い相手が憎めない相手になってしまった場合、どう対処していいか全くわからない。


 姫を取り戻したい気持ちは変わらないしそれがどうにかならないのであればやっぱり私はメアが憎い。

 私達から姫を奪った魔王が憎い。


 だけど、それは本当に今目の前にいるこの魔王なのだろうか?


 本人なのは間違いないのだけれど、それでもこれではあの魔王として憎む事が出来ない。


「どうかしましたか……? なんだかとっても難しい顔をしておられます……」


 そう言ってステラが私を心配し、身を寄せてきた。


「ステラ。心配させてしまってごめんなさい。私もいろんな感情が頭のなかぐちゃぐちゃになっていてどうしていいものか……分からないのです」


「そうだったね。その話もしておかないと。私はそこのナーリアさんに恨まれるだけの事をしていて、この体の中に彼女の大事な人を取り込んでしまってるらしいの」


 メアが急に真剣な声で語り始めたので皆食事を取る手が止まる。


「現状私にはどうしたらいいのか分からないけれど、魔物の中にも特殊な魔法に詳しい人も居るし、いろいろ考えて試して私の中からその人を分離する方法を考えてみる。出来るかどうか保証はないけれど、出来るだけの事はします」


 私は、ディレクシアで聞いたその言葉をもう一度、今度はあの時とは全然違うもっともっと真面目な声で、真剣な意思のこもった言葉を黙って聞いた。


「だから、私を恨むのも憎むのも仕方ない事なのはわかった上で、勝手なお願いなんだけれど……ここの王国の子たちはみんな頑張ってて、変わろうとしてる。だから……魔物を一括りにして嫌わないであげてほしいの」


 ……これは、私の負けかもしれない。

 勿論簡単にはスッキリする事も出来ないし、恨みが消える訳でもないけれど。


 だからと言って私個人の感情をぶつけてここの王国、そしてディレクシアとの同盟を壊す訳にはいかない。


 魔族の件だってある。

 今は魔物だ人間だと揉めている場合じゃないんだ。


「私は貴女の事を許したりはできません。だけど、私の知っている魔王と、貴女は……なんだかやっぱり違う気がするんです。だから……姫の事は一端保留にします。出来る限り早くなんとかしてください。私から言える事はそれだけです。ここは、いい国ですから」


「ナーリアちゃん! ありがとう……。私、がんばるから。絶対、なんとかしてみせるから!」


 急にナーリアちゃん、なんてちゃん付けで呼ばれた事にも驚いたが、急に私に向かって握手を求めてきて、それに応えてしまった自分にも驚いた。


 ばんっ!


 その時、食堂にあの一つ目の魔物さんが飛び込んできて叫ぶ。


「メアっち大変や! 魔族が攻めてきたで!!」


 やはり魔物と魔族は関係無かった。

 魔物の国まで襲う対象とは……魔族っていったい何がしたいんだろう。


「さっそくだけれど……魔族退治に手伝って貰えるかな?」


 メアが立ちあがり、私達に向かって真剣な眼差しを向ける。


 私の答えはもう決まっていた。


「えぇ、もちろん」

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