ぼっち姫、全力解放!
「ニンジャマスターカオルコ・サクラコの力を思い知れ!!」
「どんどん切っていきやすんで宜しくお願いします!!」
蛙さんが反対の腕を切ってサクラコさんがまた氷で凍らせ、蛙さんの一撃で粉砕。
でもそこまでだった。
そこから先は同じ事をやっても今度は水じゃなくなって、突風が吹き荒れたり炎になったりいろんな物に姿を変えて、元通りになる。
サクラコさんはすぐにそれに対応して忍術とやらでいろんな属性の攻撃を加え、対処しようとしていたが……。
「ちっ、なんだこいつ……! だんだん耐性が強くなってきてやがる! あたしの忍術じゃ出力不足だぞ!!」
「これじゃあジリ貧でそのうちやられちまいやすぜ。姐さんどういたしやすか?」
「どうもこうもねぇよさすがにこれは事前準備が必要な相手だ! 一度引き返すぞ!!」
サクラコさんがこっちに向かってきて私を小脇に抱えて走る。
それに続いて蛙さんも一時撤退。
だけど、私達が通ってきた道は目の前でがっしょーんと大きな音を立てて塞がってしまった。
「なんなんだ畜生! プリンこれ開けられるか!?」
私はサクラコさんの腕から降ろされ、思い切り力を入れてみるけど今度はまったくびくともしない。
「うーん、これちょっと無理かも。あれ倒すしかないよ多分」
「なんでお前急に冷静になってんだよ!!」
なんでって言われても……多分私はあれの対処法を知ってる。
でもどうやったらいいのかな……。
自分に問いかける。
どうやったら倒せる?
私にそれが出来るのか?
……出来る。
出来る筈だ。
「ちょっと二人とも下がってて」
私は自分に問いかけながらなんとなくで魔法を使ってみる。
呪文なんか知らない。覚えてない。
だけど、どうやったらいいのかはなんとなく身体は覚えていた。
「こう、かな?」
私は土属性の魔法を使い巨大な岩の塊を幾つも出現させ、それら全てに強化魔法をかけ、可能な限り強度を上げてから更に一つ仕掛けを施して土偶の残っている両足と胴体、そして頭に向かってそれを放つ。
接触と同時に私のかけたもう一つの魔法が炸裂。岩がぶつかって亀裂を入れた瞬間に爆発を起こすように別の魔法をかけておいたのだ。
それらが炸裂し、土偶の身体がバラバラになった所で破損個所からあらゆる属性の力が噴き出す。
私はそれぞれ対になる属性の魔法を一度手の中でこねくり回して一つの巨大なエネルギー塊に変化させ、土偶に向けて放つ。
それが土偶に当たる直前に、土偶を包み込むように障壁魔法をかけて、障壁の中に土偶と魔法を閉じ込めて周りに被害が出ないようにした。
瞬間、大爆発。
かなり振動は伝わってしまうものの、爆風や衝撃自体は障壁の中に閉じ込められているので私達に被害は無い。
爆煙がすべて消え去る頃、すでに土偶は跡形もなく消滅していた。
「……ふぅ、できたー!! なんとかなったよ♪ 私ってちょーつよくない!?」
あまりにうまくいったのでテンションがあがってその場でぴょんぴょん飛び跳ねていると、サクラコさんと蛙さんが化け物でも見るような視線をこちらに送ってくる。
「お、お前……そんな事できるならもっと早くやってくれよ……」
「さすが姫さんですぜ……これにはあっしも吃驚仰天玉手箱」
そう言って妙な空気が流れたけど、すぐに二人は私を褒めてくれた。
「しっかしプリン強いな! さすが勇者ご一行の一人だぜ」
「どうやら姫さんの持っているその剣がブースト装置みたいな役割をしていたみたいですぜ」
え、この剣ってそんな用途があったんだ?
意外と役にたつじゃん♪
でもいつまでも剥き身で持ってるのもアレだし、蛙さんの鞘みたいなのを用意してもらおう。
「とにかく、これで魔物が集まってきてた原因は排除できたって事でいいのか?」
「……おそらくはそうでしょうが、どうやらそれだけじゃすまなそうですぜ」
まだ何かあるの? って私とサクラコさんは警戒したけれど、どうやらそれはちょっと違った。
奥の壁が、まるで扉のように開いて、奥へ続く道が現れる。
さらに強敵が待ってる、なんて事がないといいんだけど……。
みんなかなり警戒している。
来た道も開いてるし、ここで引き返すかって話にもなったんだけどね、やっぱりさ、答えは決まってるよね。
「ここまで来たら行くっきゃないでしょ!





