魔王様の建国奮闘記。
もうほんとそれからは大変の一言。
だってゼロからだよ?
私だって料理を沢山知ってるって訳でもないし、畑の管理方法だって知識ゼロだし。
家畜を育てるにしたってまずその家畜が居ないんだからどうしようもない。
まずは私が人間の街へ行ってそれらしい関連の書物を山ほど調達してきてみんなで勉強した。
料理はレシピさえあればなんとか作れるけど、几帳面な性格の人じゃないとなかなか上手には作れなかったので段々と料理する担当っていうのが決まってきた。
魔物さん達ってみんな特別な力があって、例えば物凄く力持ちだったり、魔法が使えたり、それ以外にも特別な能力を持ってる人達も結構いた。
それらを適材適所な感じで振り分けて、みんなで試行錯誤しながら国造りをしていく。
私はと言えば、世界中転移魔法で飛び回っては畑や家畜に関する知識を集めていた。
こういうのは実際にいろいろやってる人に聞くのが一番いい。
私一人ならそこまで怪しまれる事なく各地で情報を仕入れる事が出来たが、さすがに聞くとやるとじゃ大違い。
最初の一か月は丸々準備だけで潰れてしまった。
そうしている間にも幹部達により各地から魔物がここへ集結しつつあった。
急がないと。
私は慌てたけれど、そこで一つ光明が見える出来事があった。
偶然なのだけれど、ある森の中で農作をやっている魔物を見つけた。
ライノラスという魔物だ。
彼は私を見てびっくりしていた。
なんでこんな所にとか、なんとか言ってて誰かと勘違いしていたらしい。
私は魔王だよって教えてあげると、かなり混乱しているらしかった。
彼が知ってる私の外見は男だったらしい。勘弁してよ私って元男なの??
オカマさんって事? よく分からないのでその辺はあまり深く考えない事にした。
で、私が何度か通ってライノさんを説得して、魔物の国に特別指南役として二か月だけ来てもらえる事になった。
農作については彼に教えを乞う事である程度解決できそうだった。
なにせ魔物の国には沢山魔物が居るし、自分で考えて動く事の出来る知能がある人も少なくない。
それほどの知能が無い子達も、自分より強者からの命令はきちんと聞いてくれる。
ご褒美をあげる事でお互い助け合う関係の完成だ。
家畜に関してはまず野生の豚や鳥、牛などを各地からアブダクションしてくる作業から始まった。
野生なので気性が荒く大変だったけど、逆に野生の本能が働いたのか魔物達に逆らうような事はなかった。
食べる為に育てる事になるけれど許してね。
命を食べるって事の大事さはみんなにちゃんと教えていくから。
そうやってあちこち飛び回っていると、中には世捨て人みたいに一人きりで自給自足生活をしてる人間がいて、ダメ元で魔物の国に来てみないかとスカウトしてみた。
結果的に四人ほど人間を招く事に成功して、最初は魔物さん達もどう接していいか分からなかったみたいだけれどだんだん打ち解けてくれた。
やっぱり人間と魔物は共存できる。
特に、魔物の国に来てくれたモリーというお爺さんは、すぐに私の話を信じてくれたし、「お前さんは悪い人間じゃない。わしには分るよ」と言っていろいろ力になってくれた。
モリーお爺さんが居たから他の人間もここに来てくれたんだと思う。
モリーお爺さんは人から預かっている馬を連れて行くのが条件だと言うので勿論それは快諾。
幹部のおうまさんが、その馬とすっごく仲良くなっちゃって微笑ましかった。
そんなこんなあって、私達は少しずつ魔物の国を造りあげていった。
私達が動き出してから半年くらい経った頃、やっと、私たちの国がある程度形になってきた。
みんな喜んでくれたし、私もすっごく嬉しかった。
だけど……そんな時に私達の国に魔族がやってきた。
勿論私がそんな奴すぐにぶち殺したけど、ぺんぺんが言うには魔族っていうのはすごく危ない奴等で、昔魔物から違う進化を遂げた連中らしい。
そんな奴等が再びこの世界で暴れようと帰ってきた。
やっと私達の国が動き出したっていうのに邪魔されたらたまったもんじゃないよ。
「メアリー様、本気ですか?」
「本気も本気。そろそろ人間にも理解してもらわないと先に進まないし魔族なんか出てきたら人間だって困るでしょ? そんな奴等が暴れて、魔物はやっぱり危険だとか思われたら濡れ衣もいいとこだしさ。早く動いた方がいいよ」
「しかし……人間が我々のいう事を信じてくれるでしょうか?」
「それは私がなんとか説得するしかないでしょ。とにかくちょっと話付けてくるよ。まずは王都の王様を味方につけよう。そしたら話早いし」
私は人間と同盟を結ぶつもりだ。
条件は、魔物は金輪際人間を襲わない。魔族を滅ぼした後もそれは変わらない。
はぐれの魔物が人間に害をなした場合、それの討伐に私達は口を出さない。
とりあえず用意した条件はこれ。人間がもっと欲張ってきたらその時改めて考える。
みんな私の考えにしぶしぶながら納得してくれたし、追加条件について認めるか否かは私に一任してくれた。
「くれぐれも、最低限魔王の威厳は守って下さいよ? 気が抜けて何を言い出すかわかったもんじゃない……」
「もう、ぺんぺんはうるさいなぁ。私だったら大丈夫だって♪ ちゃんとかっこよく決めて来るから安心してよ。だからとりあえず王都の王様のとこ行ってくるね☆」
「ま、待って下さい!」
ぺんぺんが慌てて私を止めるので、「何?」って聞いてみると、確かにちょっと納得な事を言い出した。
「同盟を結ぶにせよ、我々が国を造った事を認めてもらわなければならないですし、国の名前はどうするんです?」
確かに魔物の国、じゃ味気ないよね。
「よーっし、じゃあこの国は今日から魔物フレンズ王国って事で!」
「ちょっ、それはあまりにも……!」
「じゃ行ってきまーす♪」
転移していく時、ぺんぺんの「考え直して……」みたいな言葉が聞こえた気がするけどきっと気のせいだ。
こんないい名前反対する意味がわかんないもんね。
お読み下さり有り難うございます。
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ついに次回より姫ちゃん編のスタートです!
大分お待たせしてしまいましたがあの戦いの後姫がどうなっていたのかを描いていきますのでお付き合い下さいませ☆
以下作品紹介
ぼっち姫は目立ちたくない!の前日譚
【滅国の魔女 〜姫が王国を滅ぼした理由〜】
https://ncode.syosetu.com/n9934fl/
作中登場のあの人達が主役の物語。ぼっち姫と合わせてお読みいただけるといろいろ分かるようになっています。
【とある魔王の日記帳。】
https://ncode.syosetu.com/n5782fo/
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