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ぼっち姫、野営で大爆発。


 だんだんと薄暗くなっていく中、森の中へと歩みを進めていく。

 意外な事にまだ魔物には遭遇していなかったが、二人はいつ襲われるんじゃないかとビクビクしながら俺の後ろをついてくる。


「そんなにビクビクしてたってしょうがねぇだろ。集中は大事だけど必要以上に精神すり減らしてるといざって時に機能しないぞ?」


 俺がアドバイスをしてやるが、二人はそれどころじゃないらしくあちこちきょろきょろ見渡しながらゆっくりと一歩、また一歩と先へ向かう。


 そして、結局真っ暗になるまで魔物とは遭遇しなかった。


「ほんと拍子抜けだったな。もう少し魔物がいてもよさそうなものだが」


「いなくていいっすよ! 明るいうちならともかく暗いのはちょっと……」


「ちょっと、疲れちゃいました」


 ナーリアはずっと夜目のスキルを使いっぱなしだったからな。

 そういうのは戦闘になりそうな気配を感じたら使えばいいんだよ。


 そういう大事な事は口に出さない。

 自分で気が付かなきゃ意味がないからな。


「よし、もうだいぶ暗くなってきたから今日はここで野営だ。デュクシ、ここで火をおこせ」


「えっ、俺っすか? 火なんかどうやって……」


「とりあえず薪になりそうな木を集めろ。その辺に転がってるだろ?ここの空気は乾燥してるからそのままでも使えるだろう」


 デュクシとナーリアは辺りに転がっている木を一か所に集めた。


「……で、ここからどうやったらいいんすかね? 俺火なんて自分でおこした事ないっすよ」


「貴方やっぱりバカなんですか?」


 ナーリアに馬鹿にされても頭の中に『?』しか浮かんでないデュクシは本当に応用が利かない奴だなぁ。


「お前が持ってる剣がなんの魔剣か忘れたのか?」


「あっ!」


 デュクシが慌てて鞘から魔剣を抜き、集めた薪に向かって「うぉりゃぁっ!」と振り下ろす。


 勢い強すぎだバカ!


 本当なら剣に炎を纏わせて薪の中に突っ込むか、その炎を薪に投げつけるように放てばいいだけなのにこのバカ野郎は炎を纏った剣で薪の山に思い切りばちこーん!と攻撃した。


 するとどうなるか。

 最大火力で発揮された魔剣の炎が、薪に一瞬で火をつけ、魔剣から発せられる剣圧がそれらを一気に吹き飛ばす。

 さらに、木の中に含まれていた酸素にも一斉に火がつき、薪一本一本が内側からはじけ飛ぶ。

 まさに爆発だ。


 ぼごーんっ!!


「きゃぁぁぁっ! 馬鹿デュクシ! 貴方何やってるんですか!」


「えっ、えっ? これ、どうしよう!?」


「お前らさぁ……もう怒る気にもなんねぇよ。お前らだけでなんとかしろ。早くどうにかしないと山火事になるぞ」



 その後、二人は慌てて消火作業にあたり、そしてようやく無事に火をおこす事に成功する。


 そして、二人に食料の確保を命じた訳なのだが……。


「で、お前らはそれを食って夜を明かす訳だ?」


「うぅ…お恥ずかしい限りです」

「だって、俺自分で食料確保なんて初めてでこんな物しか……」


 二人はしょんぼりしながら唯一の成果である果実に噛り付いた。


 俺はと言えば、二人がてんやわんやしてる間に近くを流れている川へ行って魚を確保してきた。


「仕方ねぇな。お前らも食え。その代り一匹ずつだからな」


 俺は三匹食べる。

 人のおこぼれに与ろうって奴はこのくらいで十分だ。


 二人が泣きながら焼き魚をむしゃむしゃ食べ終わった頃、ついにその時がやってくる。


「はぁ……ただ魚焼いただけのもんがこんなに旨いとは知らなかったっす。命にマジ感謝っすね」


「それと姫にでしょう? 私達だけでは本当に侘しい食事になる所でした」


「さて、腹も多少膨らましたところでお前らの出番だぞ」


「それって…」

「デュクシ、剣を構えなさい」


 ナーリアは夜目が使える分異常にいち早く気付く事ができたようだ。


「デュクシ! 行きますよ」

「おうよ! 姫ちゃんにいいとこ見せるっす!」


「二人ともがーんばってねー♪」


 適当な応援をしながら私は三つめの焼き魚を頬張った。


「おさかなおいしっ☆」

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