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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第一章:それぞれの歩む道。

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らいごす君の大脱走。


「シロ? そのぬいぐるみはどうしたの?」


 ……まずい。まずいのである。

 この年で魔物を使役する程の使い手であれば我の事などすぐに看破してしまうだろう。


 どうする? どうするのである?


 逃げるか? いや、どちらにせよ今はこのシロと呼ばれたもふもふが我を離してくれない。


 このまま元の姿に戻ったらこのもふもふの口が裂けてしまうであろう。

 できればそんな事はしたくないのである。


 もう少しだけ、様子をみよう。


 いくらこの少女が恐ろしい相手だったとしても、本気を出した我が敵わないという事は無いであろう。


 時を待て。

 冷静に……冷静に……。


「うわーなにこの可愛いぬいぐるみ! いったいどこで拾ってきたの?」


 少女はシロの口から我を受け取り、自分の顔の前まで持っていくと、あろうことか突然ほおずりをしてきた。


 や、やめるのである!

 いくら少女とはいえ、これはなんだか申し訳ないのである!!


 つい、じたばたともがいてしまった。


「えっ……。今、このぬいぐるみ……動いた?」


 ……気付かれた。


「え? え?? 何か特別な魔法でもかかってるぬいぐるみなのかな?」


 魔法? そうか、魔法か。その手があった。


「ウン。僕ライゴス。マホウで動く、人形ダヨ」


「わぁ~すご~い♪ 喋る人形だ~! 私リナリーって言うの! 仲良くしてね♪」


 リナリーと名乗った少女は屈託なく笑う。

 なんだかその笑顔をみているとヒルダ様を思い出してしまった。


 勿論ヒルダ様はこんなに脳みそお花畑ではないのであるからして、混同してしまうのはヒルダ様に対し失礼な行為なのであるが、きっと我は今ヒルダ様成分が不足しているのだ。


 だからこんな少女にすらヒルダ様の面影を探してしまう。


 ダメだダメだ。冷静になるのだ。

 冷静になるのであるイオン・ライゴスよ。

 我は元魔王軍幹部のライゴス様である。


 このような人間の少女相手に心を乱しているようでは……。


「らいごす君もシロも泥だらけだねー。よぉ~し一緒にお風呂はいろぉ~♪」


 そう言ってリナリーは我をがっちり掴んでどこかへと連行していく。


 シロというもふもふはお風呂という言葉に反応したのか物凄い勢いで逃げ去った。


「あっ、シロったら……もう、後できちんと洗うからね! ……じゃあらいごす君私と一緒にお風呂行こうねぇ~♪」


 待て待て。

 待つのである。待つのである。


 さすがにそれはまずいのである!


 べ、別に我はこんな幼女の身体になんの興味もないのであるし、そもそも相手は人間であるわけで特別な感情がどうにかこうにかなったりはしないのであるがしないのであるがさすがに問題があるのではなかろうか!!


「ここがお風呂だよぉ~♪ ちょっと待っててねー」


 そう言うとリナリーは我を近くの台の上に置き、服を脱ぎだした。


 わっわっ! まずいのである。それはまずいのである! 我にそんな趣味はないのであるがこの状況を受け入れてしまったらいろいろ誤解をされかねないのである!


「うんしょ、うん……しょっと。……あれ? らいごす君? どこいったのー?」


 我は少女が服を脱いでいる最中、我から視線が離れた時を見計らって台の上から飛び降りた。


 そしてそのまま今来た道を全力で走っている。


 我は変態にはなりたくないのである!


「ちょっと~らいごす君? 逃げないでよぉ~」


 少女の声と足音が近づいてくる。

 まさかあの女全裸で追いかけてきてるのであるか!?


 なんと恥知らずな!

 乙女たるものもっと恥らいをであるな!


「なになにー? かくれんぼ? よぉ~っしすぐに見つけちゃうんだからねっ」


 この身体ではすぐに追いつかれてしまう。

 ひとまず隠れてやり過ごすのである。

 そうすればいずれ諦めて離れるであろう。


 次にこの魔物使いの少女が我から距離を取った時、力を開放して全力で走る。


 それで恐らくなんとかなる筈である。


 今ここで元の姿に戻る事は出来る限り避けたい。

 何故ならば、今戻ったらこの少女に間違いなく我の本来の姿を見られてしまう。


 そうしたらこの少女は悲鳴をあげ、

 我の事を裸を見た変態として認定してしまうであろう。


 それだけは絶対に避けなければいけないのである!


 出来る限り悟られる事なく離脱する。

 それが出来なければ我の尊厳は地に落ちるのである……!


「うまく隠れたつもりかなぁ~? でも足跡がついてるんだよね~♪」


 まさか!?


 少女の声を聞き、我が通ってきた道を振り返ると確かにうっすらと足跡がついていた。

 あのもふもふに追いかけまわされて走り回ったから足が汚れていたのだ。


 まずい。


 ここから離脱しなくては!


 我は現在大きな柱の影に隠れていたのだが、地面を歩けばまた同じ事。

 ここはこの柱を上り、手近な台の上に移ってあの少女の身長よりも高い所を移動していけば完璧である!


 なんとか少女が柱の影を覗き込むより先に、近くの台がある高さまで登りきる。


 台まで飛び移り、壁の縁を沿うようにして、隣の食器棚へと飛び乗る。

 どうやらここはキッチンであるらしかった。


 高い場所から、我を探す少女を見下ろしてみるが、やはりすっぱだかではないか!!


 破廉恥な! けっ、けしからんのである!!


 ……はっ、急いでここを離れなくては。


 なんとか少女の追跡を逃れ、隙を見て棚からキッチンを渡り、再び飛び降り走る。

 そしてとうとう玄関らしき場所まで帰ってきた。

 これで、やっと我は……。


「わふっ!」


 我目の前真っ白。

 もっふもふのもっふもふ。

 かぷり。


「わぁ~シロったららいごす君見つけてくれたの? ありがとぉ~♪ お礼にお風呂で綺麗にしてあげるね……って、どうしてにげるのぉ~?」


 ……これは不可抗力である。

 もふもふが我を捕獲し、全裸少女に渡して自分だけ逃げおった。


 だから、全裸の少女に抱きしめられているのもこのまま一緒に風呂に入る事になってしまったのも。


 全部全部不可抗力なのである。


 繰り返す! 

 不可抗力なのである!!


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