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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第一章:それぞれの歩む道。

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元魔王が驚愕した秘密。


「メリニャン殿は魔族の事をご存知でしたかなぁ~?」


「ん……いや、まだなんとも言えぬのじゃ」


 ぐぅ。


 こら、こんな所で鳴き始めるな恥ずかしいじゃろうが!


「おやおやぁ~? とにかく立ち話もなんですしぃ~こちらへ来てくださぁい。何か食べる物をお出ししますよぉ~」


 プルットが儂を見てにやにやしながら奥の部屋へと誘導する。


 くそぅ。めちゃくちゃはずかしいのじゃ……。


 しかし、食べる物がもらえると言うのであれば……まあ、許してやらぬでもなくもないのじゃ。


 せいぜいパンとスープが出てくれば十分だと思っておったのじゃが、案内された食卓には色とりどりの料理が所せましと並んでいた。


 ごくり。


「どうです~? ちょうど儂達もこれから食事の時間だぁ~ったのです。あのホビットドワーフ達も料理が随分上達したぁ~んですよぉ~?」


 これは驚いたのじゃ……。

 プルットに促されるように食事を口に運ぶと、簡単なサラダのような物ですら食べた事の無いような複雑な旨味が口中に広がる。

 何かの粉末をふりかけてあるようじゃが、それが何なのかは儂には分からなかった。


 スープ、肉料理と次々に腹に収めていく。

 こんな状況じゃから腹に入れられればなんでもいいと思っていたのにこんな上等な物を食す事ができようとは。


 夢中になってもしゃもしゃと出されたものを次々と胃の中へ流し込んでいると、



「……やれやれ。本日はプルット氏から食事にと誘われて来たと言うのに……既に食卓の料理はほぼカラではありませんか」


 いつの間にやら部屋の入り口に男が一人、立っていた。


「ふぉ、ふぉはふぇは……あへふ!」


 口いっぱいに料理を頬張っていたので上手く喋れない儂をその男は無表情で見つめると、大きくため息をついた。


「やれやれ。レディの嗜みと言う物がまるでなっていませんね。……ところで、お久しぶりですねヒルデガルダ・メリニャン様。このような所でお会いできるとは思ってもおりませんんでしたよ」


 こいつの名前はアレク。確かアレクセイ・バンドリア……だったかのう。


 以前儂とセスティの身分証を作ってくれた男じゃった。


「だいじょぉ~ぶですよまだまだ料理は沢山ありまぁ~すからねぇ。ゴギスタ、もっともっと料理を持ってくるよぉ~にキッチンの子達に言っておいてぇ~くださぁい」


 ゴギスタは「かしこまりましたー」と言って部屋から退室。


「そういえば聞きましたよ。どうやらエルフの森では魔王軍と引き分けたそうですね。しかしセスティ殿は戦死。他の方々も行方知れず……貴女もこの半年間どこで何をされていたのです?」


 無表情で遠慮なくズケズケと聞いてくる奴じゃのう……。まぁ、間違ってはおらぬのであろうが。


 しかし。


「半年間、というのはどういう事じゃ? 儂等が魔王軍と戦ったのはついこの前の事じゃが……」


「……? 貴女は何を言っているのです? エルフの森での決戦は半年前ですよ?」


 何かがおかしいのじゃ。

 半年という時間。そしてプルットの言う魔族。

 儂は今の状況を詳しく知る必要がある。


「どうにも話が噛み合いませんね。お互い一度情報を出し合いましょう。整理すべきです」


 儂が知っている事、あの戦いで儂が覚えている限りの所までを伝え、アレクからは今この世界で起きている事と、儂等が行方不明になっていたという半年間の事を聞いた。


 半年もの時間があいて居る事と、儂がこんな所で倒れていた事には何か関連があるやもしれぬのじゃ。


「なるほど……つまり貴女が今になって発見されたという事は他の方も同じように発見される可能性があるという事ですね……」


 そうか、そういう可能性もあるという事なのじゃな。

 しかし、いつどこで発見されるか分からぬこの状況でただ手をこまねいて待っているだけというわけにもいかぬのじゃ。

 自ら動き出さなくては。


「しかし……それはさておき、貴女は、よく事情が分かりませんが封印された力を開放する為にアーティファクトを探している、との事ですが……今まではその役目をセスティ様が所持していたアーティファクトが行っていた、と。……ふむ、そして貴女は現在仲間を探している、という事ですね」


 何故儂が説明した事を復唱するのじゃ……。一度自分の口で喋って自分の中で整理するタイプなのじゃろうか。


「いいでしょう」


 何がじゃ。何がいいのじゃ?


「私が力になりましょう」


「おぉ、勿論セスティの仲間を見つける事も大事なのじゃが、儂の目的の為に腕の立つ冒険者を数人、紹介してほしいのじゃ。手伝ってもらえるのかのう?」


 アレクは相変わらずの無表情で、懐から何かレンズのような物を取り出し片目に装着すると、「違います」とだけ言う。


「どういう事じゃ? 力になるとは……」


「現在この国は魔族という新たな脅威にさらされております。そして魔王も無事である可能性が高いともなればのんびりはしていられません。ですから、魔王と引き分けたセスティ様の相棒である貴女の力を取り戻す為に私が力になると言っているのです。私が貴女を害する物を排除してみせましょう」


 混乱。困惑。どんな言葉で表現すればいい?

 わからぬ。この男が、儂を守ると言っておるのか?


「あまりに突然ですからぁ~メリニャン殿がびっくりしてぇ~おら~れますよぉ~? この方、アレクセイ・バンドリア氏はですねぇ。身分証発行の仕事に携わる前はぁ~」


 プルットが告げたその先の事実に儂はさらに目を丸くする事になってしまった。


「王国十二騎士団を束ねる総騎士団長だぁ~ったのでぇ~す」


「……えっ、嘘じゃろ? それめっちゃ凄い人って事かのう?」


 プルットの言葉にも無表情なアレクに真偽を問う。


「……昔の話です。戦いからは遠ざかった身ですがね、私の腕に疑問がおありでしたらご心配なく。貴女の力になる事が最善だと判断した以上、相手が誰だろうと、何だろうと、殲滅してみせましょう」


 ……この男、何かあるとは思っておったが、まさかこんな秘密があろうとは……。


 じゃが、儂は今驚きよりも、


 この男が最後にニヤリと笑ったのを見て背筋がぞわっとしたのじゃった。

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