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【300万PV感謝記念SS追加!】ぼっち姫は目立ちたくない! ~心まで女になる前に俺の体を取り戻す!!~【完結済】  作者: monaka
第一章:それぞれの歩む道。

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変態弓士は押しに抗えない。



「世話をする、少女……ですか?」


 テロアが訝しそうな瞳をこちらに向けてくる。

 そんな、純粋に【何言ってんだこいつ】みたいな目で見ないでほしい。


 こっちからしたら重要な事なの。

 今まではずっと姫が近くに居てくれたし、ショコラちゃんだって居た。

 めりにゃんだってとてつも無く可愛かったし、お姉ちゃんだって血が繋がってるとはいえその愛らしい外見は私を癒してくれた。


 そんな天使達を全員いっぺんに引き離された私の気持ちが分かるのか?


 私の気持ちがテロア、貴方に分かる? いいえ分からない。

 絶対に理解できる筈がない。


 私のこの愛の深さをこの男が理解できるとは到底思えない。


「……そう、ですね……それでしたら一人適任が居ます。ナーリアさんがここに運ばれた時からずっと会いたがっていたので……」


 会いたがっていた? 私に? 向こうから?


 求める事は多くあれど求められる事はほぼ無い人生だった。

 そんな私が誰かに、まだ見ぬ少女に求められている?


「その子と、是非! 会わせて! 下さい!」


「えっ、あっ……はい。では呼んで参りましょう」


 テロアが部屋を出て行ってから、その少女を連れて戻ってくるまでの十分程の間私はずっとソワソワしながら部屋中を歩き回った。


 どんな子だろうか。姫のように美しい? めりにゃんのように愛くるしい? ショコラちゃんのように妖しい魅力を持っている? お姉ちゃんのようにギャップ萌えかもしれない。


 コンコンコン。


「……っ、ひゃい!!」


 ドアを叩く音に声が裏返る。


 そして、扉を開けて中に入って来たのは……。


「あの、初めまして……私、ステラ・ジェミニアって言います。兄から聞いて伺ったのですが……貴女がナーリア様、でしょうか?」


 まだあどけない顔立ち。エメラルドグリーンの澄んだ瞳。艶やかな唇。腰まで伸びた姫よりも少し濃いめの黄金色の髪。少し力を入れたら折れてしまうんじゃないかというような細い腕、腰、そして足。成長途中なのが一目でわかる程よいサイズのふくらみ。その身体を包んでいる清潔感のある白いワンピース。


「……天使か」


「テンシ、ですか? あの、ナーリア様で……よろしいのですよね?」


 ハッ、目の前の少女があまりにもどストライクすぎて正気を失っていた。


「あ、はい。私がナーリアです。ナーリア・ゼハールです宜しくお願いします!」


「あははっ♪ 宜しくお願いしますはこちらのセリフですよ? ナーリア様って面白い方なんですね」


 ステラと名乗る少女は、屈託のない笑顔を私に向けてくる。


 まっ、眩しいっ!!


 私にはその無邪気な笑顔が眩しく発光して私のきったない部分を浮き彫りにしていくような気がした。


 その日からステラは私の世話をする為毎日この部屋に通うようになった。


 ステラは何も出来ない私と違い、とても良くできた少女だ。食事もすべて彼女が用意してくれるし、着る物が圧倒的に不足している私の為に部屋着を数着手縫いで用意してくれた。しかも結構良くできている。たまにほつれていたり、失敗の後が見えたりするけれどそんなところも可愛らしい。


「……貴女は、ステラは何でもできるんですね」


 純粋に賞賛の言葉だったのだが、彼女にとってはそれが何か別の意味を持ったものに聞こえてしまったらしい。


「いえ、そんな事ありません。私は本当は家事とか苦手な方なんです。本当は私なんかじゃなくもっとちゃんと出来る人が適任なんでしょうね……」


 俯き、少し自嘲気味な口調でステラがそんな事を言い出した。

 少なくとも私の目には彼女はなんでもできるように見える。なのにどうしてこの少女はそんなに自分を低く評価するのだろう?


「ステラ、貴女は本当によくやってくれていますし、何も出来ない私からしたら憧れてしまう程ですよ。これは誇れこそすれそんなふうに私なんか、と下卑する事では無いです」


「……ありがとうございます。でも……私本当に家事全般苦手なんです。その……それでも頑張れているのは……あの……」


 急にステラの言葉がはっきりしないものになり、ごにょごにょ言い出した。


「……? どうかしたのですか?」


「ナーリア様は意外と意地悪なんですね。……私が苦手な事も頑張れているのは……その、ご奉仕する相手がナーリア様だから、ですよ?」


 ……は?


「えっ、ス、ステラ……? それって……」


「もう一度言えと言うんですか……? やっぱりナーリア様は意地悪です……。あの、今日の仕事は一通り終わったので……これで失礼しますね!」


 そう言ってステラは小走りに部屋から出て行ってしまった。


 ……テロアが言っていた。

 私に会いたがっていた、と。


 ……え。


 ナーリア様だから、ですよ?


 意地悪です……。


 えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ??


 どうしよう。

 天使すぎてどうしていいか分からない。


 姫、こういう場合私はどうしたら……?


 きっと姫ならこう言うだろう。

 戸惑う私の脳内で、呆れたような姫の声が突き刺さる。



『しるかぼけ』



 ってね。

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