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807本目の桜

作者: 飛行少年

僕の街には通称「千本桜」がある。

街をぐるっと囲むように伸びている道路沿いに、並木として植えられている桜のことだ。

その「千本桜」について、最近僕たちの間では奇妙な噂が流れている。

それはこういったものだ

「807本目の桜の下には、死体が埋まっている」


僕たちの間に、にわかに広がっているこの噂だが、面白い突っ込みどころがいくつかある。

まず一つ目だが、この桜は街を囲むように、つまり円状に植えられているので、どこが1本目なのかが分からないという事だ。

二つ目は、「千本桜」と呼ばれているが、そもそも桜は千本も無いらしい。実際に数えた友達によると、600本かそこらだそうだ。

これらのことから、807本目の桜なんて存在しないし、それゆえにこの噂の真偽は絶対に確かめられないようになっているのだ。

それでも今日も色んな人が、誰にも知られることの無い807本目の桜の話をしている。



その話はさておき、千本桜について、僕はちょっと苦い思い出がある。

大きく話が逸れるが、少し聞いて欲しい。

僕は以前、この千本桜が嫌いだと、ハルカに言ったことがある。暗くて薄気味悪いからだ。

そしたらハルカは、ゆー君はいつも何かのことを嫌い嫌いって言ってるね。私、ゆー君のそういうところちょっと好きじゃない。とかそんなことを言い返して来た。それで僕は少しムッとして黙ってしまった。それからというもの、僕はムキになって、この桜の下を通るたびに、この桜が嫌いだとハルカに言うようになる。

今ではあの時のことを後悔している。

幼稚な意地っ張りで、僕はハルカを傷つけてしまったのだ。

もう叶わないことだけど、もう一度彼女に会ってそのことを謝りたい。

そんな気持ちでいっぱいになると、僕は必ず807本目の桜の下に行く。この下で眠っている彼女に想いを馳せながら。



話は千本桜の噂に戻るが、この噂を流したのは誰だろうか。

現場を見ていた人はいないはずだ。絶対に人気の無いところでやったから。

仮に誰かが現場を見ていたとしても、通報するはずだ。こんな遠回しな噂にするはずがない。

じゃあ、誰が?僕は再び807という数字に着目する。807、807…そうだ、これは8月7日を指しているに違いない。8月7日。僕とハルカが付き合い始めた日。

僕はここで絶対的な結論に到達せざるを得ない。

この噂を最初に流したのは、ハルカ自身ということだ。ハルカの霊?それこそまさに怪異だ。




しかし、僕はふと思う。僕にだけ解るこのメッセージで、彼女は僕にどんな想いを伝えたいのだろうか。僕を恨んでいるってことだろうか?それとも殺されても僕のことを愛し続けてるってことだろうか?

いづれにせよ、僕はまた優しく彼女を抱きしめたい



















…それから僕は再び彼女を殺すだろう

すでに死んでいても、もう一度コロス

何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも




逃ゲラレルト思ウナ、俺ハ何度デモオ前ヲ殺シ続ケテヤルカラナ

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