第四話「いじり」
第4話「いじり」
入学式が終わり、新しい学校生活が始まった。
僕のクラスは、1-A組。
この学校は一クラスしかないらしくA組しかないのだ。一組35人という人数だ。
そして、とうとう僕にもやってきた。「いじめ」という名の支配が。
「よお!優等生。おはよおう!」
「お、おはよう。喜一君」
僕に話しかけてきたのは、中川喜一。能力は「覚醒」
身体のあらゆる部分を強化し、身体能力を上げる能力。リミッターを解除しても使えるから使い勝手がいい。だが、デメリットとして、覚醒した部分は5分後に火傷するらしい。とても僕の中にいる彼の能力と似ている。
「似た能力同士、仲良くしよーぜぇ?なぁ?」
「う、うん。そだね」
本当は僕じゃなくて僕の中にいる彼なんだけどな。
「そーだ!今日一緒にカラオケいくか!なあ?優等生?」
「え、えーと、今日は―」
「だーめーだーよー!きーいーちー!」
そう話に割り込んできたのは、クラスメイトの東条寛太だった。能力は「風」
身体中に、目には見えない穴が開いており、そこから風を出している。うまく風を出せたときは空を飛んだらしい。デメリットは、風を出しすぎると体内の酸素が足りなくなりスーハ―しまくる。
「優等生君は忙しいんだからぁー!だって銀行強盗とブラックホールに放り投げちゃうんだもんねぇ!!ははははは!!」
腹を抱えて笑う寛太に続き、クラスのみんなも一斉に笑う。
「そっかぁ!だよなぁ!じゃあ遊ぶのは無理か!ははははは!!」
僕もお前となんか遊びたくねぇよ!!
心の中でツッコミを入れた直後、教室の戸が、ゴロゴロと開き、担任の先生が入ってきた。クラスメイトらは「あ、やべっ」などと言って、自分の席に戻っていく。
「よーし。席に着いたなー。ホームルーム始めるぞー」
みんなに声掛けをした後「ふー」とため息をつき、欠席がいないか確認している。1-Aの担任、津田俊樹は欠席を確認した後に、もう一度ため息をつき、話を始めた。
「今日から、本格的な授業が始まる。この高校は、ほかの学校とは違い、リバレイトブレインの能力を生かす授業が多い。授業でいい成績が出れば出るほど、お前らの目標に近づけられるから、真面目に授業を受けるように。以上」
そう告げると、先生はのそのそと歩き始め、戸を開け、どこかへ消えてった。
先生がいなくなった瞬間、クラスメイト達は疲れたかのように机やいすに体重をかける。
「はぁ~。あの先生が前にいるとなんかピリピリすんだよなあ」
「それ、わかるぅ~。なんつーか、コワいよねえ」
津田先生は、あまり生徒からの評判がよくないのか。僕からしたら、結構いい先生だと思うんだけどな。
あ、次の授業の準備しなきゃ。
えーと、次は―
こうして、僕のちょっと不思議な高校生活が始まった。
僕、結構わくわくしてるかも。