第3話
熊の大きさは2メートル弱といったところか
腹を空かしているのか
口を開けて今にも噛みついてきそうな程だ
俺は熊に向かって言葉をかける
「すまんな、お前の獲物は俺が狩ってしまった」
言葉に答えるように吠え、動きだした
「があああああ!!」
その巨体を活かし一気に距離を詰めてきた
10メートルはある距離を一瞬で埋まった
俺は足に力をこめ
バックステップで距離をとる
距離が空いたにも関わらず
熊が前足の爪をふるう
ブオン!
という音がなる
当たれば死は免れないだろうその爪の一撃が届く距離にはない
疑問に思っていたところに魔力の奔流を感じとった
ハッと気づいたと同時に横っ飛びをした
後ろにあった木がバキバキと音を出して倒れる
みると、爪のあとがついていた
風魔法か熊のスキルと考えるべきか
「遠距離でもあてられますよってか?
上等だよ!殴り倒してやるよ!!」
距離をとって戦うのはよくないと思い
恐怖を振り払い熊の懐にとびこむ
斜め上から振るわれる爪をよける
近くで聞くとますます恐ろしい空気を切り裂く音に負けじと
すかさずリバーブローのように空いた脇腹に叩き込む
「これでもくらってろ!」
魔力を込めた一撃はクリーンヒットとみていいだろう
熊がよろめく
どうやら俺の一撃は効いているようだ
しかし、倒れることはなく体当たりや爪の攻撃を繰り返す
熊の頭を飛び越えたり、横をすり抜けたりと、
ギリギリの攻防に精神をすりへらす
熊の一撃が体をかするたびに肉がさけ、
俺の血であたりを染め上げる
お互いに咆哮をあげる
「うらあああ!」
「がああああああああ!!」
熊の一撃をかわし
何度目かのリバーブローを決めたところで、熊がうずくまる
「ぐるうぅ」
まだ息はあるようだ
距離をとり様子を見ると、
渾身の力を振り絞って立ち上がり威嚇してきた
「がああああああああ!!」
どうやら攻撃をする余裕はないようだ
俺はここで倒しきると決め、懐にとびこんだ
威嚇を強める熊のはらに、俺は両の拳を添えた
「虎砲!」
某修羅の子が放つ技を模倣したものだ
衝撃を魔力によって、増幅、拡散させる
熊の体がぶれた
俺はそっとからだをよけると、熊は沈んだ
「おおおおおおおお!」
俺は生きていることと熊を倒したことに心を震わせ、叫んでいた
その日の熊鍋は生涯忘れることはないだろう