第2話
ベットの上ではっと目を覚ます。
カーテンを開け、部屋に日の光が入る。
まぶしい。
はーぁ
欠伸をして、グーンと背伸びをした。
ベットの布団から出て床に足をつかせ、座り込む。
はーぁ
再び欠伸をして、ベットから立ち上がり部屋のドアを開ける。
すると、鼻がぴくぴくし。いい香りがする。
「いい匂〜い」
思わず、匂いを辿ると、キッチンで女の人が立っている。
え?
僕は目を擦る。
自分の目を何度も疑う。
何度も目を擦って確認するが、確かにいる。
え?
動揺を隠せない。
僕は、彼女さえ、今までいたこともないのに…
「勝手にキッチン、使ってすいません!」
彼女は、頭を下げ、その後に言葉にした。
「一緒にたべませんか?」
そう僕に言う彼女。
「はい…」
彼女は、僕に微笑んだ。
食卓には、スクランブルエッグとベーコン、ウィンナーに色合わせでレタスとミニトマトが載った皿に、豆腐と油揚げとワカメが入った味噌汁、混ぜご飯。
おいしそうだ。
人に作ってもらうのは、いつぶりだろう。
「食べましょう」
僕は席に着き、箸を持ち、口に運んだ。
おいしい。
「どうですか?」
「おいしい…」
思わず、口に出る。
すると、彼女は、微笑んだ。
朝食を済ませ、仕事に行く支度をした。
そして、家を出る時である。
玄関で靴を履いて、行こうとドアの取っ手を持った途端、
「行ってらっしゃい!」
そう言ってくれた彼女に僕は見とれてしまう。
いつぶりだろう。
家を出る時、話を交わしたのは。
「行ってきます…」
笑みを浮かべている彼女を見て僕からも笑みが出た。
そして、僕は家を後にした。
仕事の帰り道である。
早く帰りたくて、近道のあの路地を通って帰った。
そんな風に感じたのは人暮らしを始めて初めてだった。
家に帰ると、自分の部屋に灯りがついていた。
なんか、ほっとする。
なんか、うれしい。
部屋の前まで来て、僕は、家に入った。
「お帰り!」
あー!なんか、この感じいいな
「只今…」
彼女は、微笑んでいる。
その彼女の笑顔に僕はだんだんと惹かれ始めていた。
「夕飯、作ったんです、一緒に食べましょう」
僕は、取り敢えず部屋で着替え、食卓に行くと、すでに食卓には、飯が並べ始めている。
白米に、朝の残った味噌汁、秋刀魚の塩焼き、レタスときゅうり、ツナ、ミニトマトが皿に載ったサラダが用意されている。
おいしそうだ。
思わず、口から唾液が垂れそうだ。
僕は、即座に箸を持ち、飯に手をつけ始めた。
「おいしい…」
思わず口から溢れる。
彼女は、僕の反応を見て微笑んだ。
食卓を終え、僕は、リビングでテレビをつけた。
シャーシャーと音がする。
彼女が洗い物をしていた。
僕は、立ち上がり、彼女のところに行き、
「あっあの…」
声をかけると彼女は、僕の方へ振り返る。
うん?とした顔をしている。
「あっあの…洗い物、します…」
彼女は、僕をリビングの方へ向け、背中を押しリビングに連れて行った。
え?
「大丈夫です!私がやりますので!」
「え?でも…」
暫く間が空く。
「じゃあ、洗った食器を片付けてくれませんか?」
「はい…」
不思議な感覚だった。
やってくれる人がいるって幸せなことなんだなって。
僕は、暖かさを知った。
こんな幸せな時間は、怖すぎる。
洗い物を終え、彼女は、
「ありがとうございます!」
僕の方を向いて微笑みながら。
僕はその彼女の笑顔に心が高鳴った。
その後、部屋に戻り、カーテンを閉めようとしたが、星空に惹かれ、ベランダに出た。
その日の夜は、ベランダから見た星空がすごく何とも言えないくらいきれいだった。