回り始めた歯車2
「先輩二人はドタキャンだと思うんだよね、代役として座っててくれれば参加は出来るから」
「それでぇー何するの?舞ちゃん?」
「説明してなかったね、今日は将棋大会の地区予選、20校くらい出場して上位2校が
県大会に出場出来るのです」
「将棋大会wwwまぁ動かし方やルールくらいは分かるから心配いらないよねー礼美さん」
「えぇ・・・まぁ・・・そうね・・・」
楽しそうに話すいちご、伏目がちに話す礼美
「負けても全然気にしないで、先輩二人もそんな強くないし、チームで一勝!が目標なの」
「結果はどっちでも良いけどさぁ、終わったらクレープ奢りなさいよねwww」
「奢る奢る、勝った分だけ奢っちゃうw」
参加出来る嬉しさから舞のテンションも上がる
「一応先輩の代理なので主将と副将って位置だけど、参加することに意義がある!のです」
礼美といちごは今年越して来たばかり、舞とは隣のクラスで特別授業で一緒になるくらい。
いつも二人で行動しているが以前話をした時も印象は悪くない。
「でも礼美さんもいちごちゃんもよく将棋指せるねー、動かし方とかみんな知ってるものかな?」
「どうなんでしょwwwあ、始まるみたいだょ席につかないと」
「宜しくお願いいたします」
舞、礼美、いちご三人揃って頭を深々と下げる
持ち時間は25分切れたら負け、20校の参加で一回戦シードではないから勝ち続ければ5回戦まである。一局目は10時開始で二局目は11時開始、16時から閉会式
前のホワイトボードには詳細に予定が書かれている
30分ほどたった頃
礼美 「ありがとうございました」
いちごを挟んだ隣の席から礼美の声が聞こえたかと思うと足早に去っていく礼美。
「うっわー早くも負けたよ、そりゃー大将相手だもんねー、仕方ないって言えば仕方ないんだけど ねーごめん!礼美さん」
目を強く閉じ両手を前で握り小声でつぶやく
「いけない、集中集中!」
顔をぶるぶるっと震わせ盤面を見直す、定跡なんて知らない舞だが相手も同レベル
勝つか負けるかは時の運だ。
それから15分ほどした頃だろうか
「ありがとうございました」
「まいりました、ありません」
いちごは勝ったようだ、対局相手の声が聞こえてきた。
「うわーいちごちゃん勝ったよ、チームの悲願が今達成されたよー」
小声でつぶやき小さくガッツポーズをする。舞が勝てば初の一勝ではなく一回戦突破だ。
局面はあちこちで戦いが起こり難しくなっていた、正確には舞の勝っている局面だが
指している本人達には何がなにやらの局面、気持ちで負けた方が負けそうだ
とは言え終末はすぐに訪れた。
「あの王手なんですけど・・・」
「うっわああああー・・・参りました」
静かな会場に少し大きめに舞の声は響いた。
部活動の一環でもあり、最後まで参加することが将棋部顧問の黒猫先生の教え
男子部も女子部も帰りは午後4時の表彰以降
「まぁチームで一勝挙げるという我が部の最大の目的は達成したのだ!」
そして夕方
「おーい舞、どうだった?うちのチームは一回戦突破したんだぞ、先輩二人がやってくれてな!
まぁ俺は負けたんだけどw 目標のチームで一勝を遥かに超え2勝して一回戦突破だあ!」
興奮気味に話すカズだが放心状態の舞には届いていないようだった。
「おいどうした舞?舞?」
「ゆ・・・ゆ・・・ゆ・・・」
焦点の定まっていない様子の舞
「ゆ?お湯?お湯が欲しいのか?」
顔を覗き込むカズ
少し上向きになる舞
「ゆ・・・・・・・優勝しちゃったああああああああああああ」
静かなホールに声は大きく響いていた




