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第十四節 束の間の永遠 1-1
それは、一瞬の油断だったのかもしれない。
もう少し……。
あと少し進んだ先でシリル川の流れが見えたはずだった。
……そう、見えたはずだったのだ。
しかし、運命はあまりにも冷酷な道程へと誘う。
それは宿命付けられた結果なのか。
それとも気紛れな神が起こした悪戯なのか。
もし、運命が存在し、それに抗う事ができないとするなら……。
それはあまりにも過酷過ぎないか……。
運命を司る神々が同時に二人の子を授けたとき、一人が栄華を極める生涯を与えるとするならば、もう一人にはそれに比例する零落な生涯を与えて世界の均等を保つのか。
運命を司る神々に対する怒り、憎しみ、悲しみ。
その感情を抑える事ができるだろうか。