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第十三節 一筋の希望 1-2
物々しい形相で駆け回る無数の人影。
手には細剣が握られている。
「見つかったか?」
「いいえ。まだ発見できません」
「草の根分けてでも探し出せ」
マール監獄長は険しい表情で怒声を上げる。
「貴様、理解しているのだろうな。王命に背き囚人を逃亡させた罪は重いぞ」
睨みつけるその先には、重い手枷をはめられ自由を奪われたジョンがたたずむ。
身体中にできた傷や痣の痕がどれほど凄惨な取調べを行われたかを物語る。
「……」
無言のまま見返す。
「共犯者ともども断頭台に立つ事を覚悟しておけよ。……連れて行け!」