↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮面の少女  作者: KUROKO A
PR
19/36

第八節 真実への苦悩 1-2


あの日から、しばらくの間アンのいる塔に近づく事ができなかった。


なぜか、塔から視線を外している自分にダニエルは気付く。


そして、五日の日が過ぎたとき意を決してダニエルは塔に忍び込む。


「アン、俺だ」


その声にすぐに反応が返ってくる。


静かに扉を開くと、待ちわびていたようにアンは駆け寄ってきた。


「ダニエル!」


そこには、変わらない無機質な鉄の仮面が待っていた。


「全然来てくれないから、どうしたのかと思ってたよ」


いつもと変わらない、ダニエルにだけ見せる無邪気なアンがいた。


「アン、聞きたい事があるんだ」


いつもとは違うダニエルの表情に、ただならぬ予感を感じる。


「なに?」


言葉を選んで話そうとするがうまく浮かばない。


細かい事を考えず、単刀直入な言葉をぶつける。


「君は何者なんだ?」


「何者……?」


いまいち、意味が理解できていない。


「君は何週間かに一度、髪や体を拭ってもらっているよな」


「はい」


「あの人たちが何者なのか知っているか?」


小さく首を振る。


「あの人たちは王宮の女官なんだ」


「女官?」


アンの言葉が耳に入らない。


「本来なら、こんな所に来るような人じゃない。それに、あの女官は……君を!」


気持ちが高まり、両肩を掴んで強い口調で責めるようにアンに迫った。


「痛い、痛いよダニエル。どういう事なのか分からないよ」


恐怖のためか泣きじゃくるアン。


「……ごめん」


力の篭もった両手に握り締めたアンの肩をゆっくりと放し、平静を装うように落ち着いた口調で話し始める。


「アン、教えてくれ。君はどこから来たんだ?」


少しの間、沈黙が続いた。


「分からない。分からないよダニエル。私、何も分からない」


アンは涙声で答える。


再び、沈黙が二人の空間を支配する。


耳が痛くなるほどの静けさ。


ふと、ダニエルは思う。


もし、王族として生まれなかったら。


もし、双子として生まれなかったら。


そう思うと、無性に腹立たしい思いに駆られた。


これでは、彼女は何のために生まれてきたのか。


ふと、思い出したようにダニエルは話した。


「前に俺が話した話の中で、どこまでも続く蒼い空が見られる場所の話を覚えているか?」


静かに頷く。


「見に行かないか?」


突然の事に驚く。


「本当?」


先程とは打って変わって喜びに満ちた声だった。


「あぁ、約束するよ。君を連れてこの部屋を出る事を……いろんな人たちが生きる世界を俺が見せてやる」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。