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第五節 牢獄での再開 1-3
暗闇の中。
ふと、物音が聞こえたような気がした。
ゆっくりと、ベッドから体を起こすと、何も見えない部屋の中を見渡した。
やはり、室内に誰かがいるような気配はしない。
気のせいかと、再び眠りにつこうとした時だった。
「……ン! ア……」
「あっ……あぁぁぁ」
それは、聞き覚えのある声だった。
足元もハッキリしないまま、アンはゆっくりと扉の方に足を向ける。
「アン! 起きているか? アン!」
やはり、その声は待ち望んだ声。
この二月、どれほどこの声を聞きたかった事か。
「ダニエル! ダニエル! ダニエル!」
思わず叫んだ。
「アン! 起きているのか。鍵を開けるぞ」
ゆっくりと扉が開いた。
「あぁぁ……ダニエル」
扉の向こうには、蝋燭を手に持ったダニエルが立っていた。
「アン!」
「夢じゃないんだよね」
とめどなく涙が零れ落ちた。
「寂しい思いをさせてしまったな」
そう言うと、力いっぱいにアンの体を抱きしめた。