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第五節 牢獄での再開 1-1
「おい、1番! 朝食の時間だ」
今日も、扉の向こうからの呼びかけにアンという言葉は無い。
ゆっくりと開かれた扉の向こうには軽蔑に満ちた視線を向ける青年が一人。
ダニエルの変わりに朝食を運ぶ若い看守は、あからさまにアンを嫌っていた。
「さっさと食べろ」
押し付けるようにスープを口元に運ぶと、無理やり流し込み、早々に引き上げていく。
まるで、家畜のような扱い。
毎日のように繰り返される悲しみ。
それでも、アンは待ち続けた。
明日こそは……明日こそはあの扉の向こうから私の名前を呼んでもらえることを。