全く客が来なくて困っている男の話
「今日は世間が夏休みで、お盆休みも被ってるから売れるはずなのに、それで昨日は売れたのになんで、なんで今日は売れないんだよ!!」
「うるさいですよ店長"エフェクエ"に集中できない」
「いやいや仕事中にゲームしちゃダメでしょ!? ……もうゲームしながらでもいいから、何かお客さんが来るような良い案ない?」
「あぁ、あれとか」
「あれって?」
「目立つ!!」
「そんなすぐ無理!!」
「ネット配信でもしてみたら?」
「…………言い出しっぺなんだから、一緒にやってくれるよね、茜ちゃん」
「分かってます分かってます。セーブ完了っと、それじゃあ始めますよ店長」
目立つっていうんだったら、悪目立ちでも良いんだよな
「なあ、茜ちゃんこういうのやりたいんだけど」
ヒソヒソ
「あぁ、私は別に良いですよ」
配信開始っと
「ハイハロこんちはヨシキタ商店の店長やってます柳田健斗でっす!! そしてこっちにいる子は」
「バイトの吉田茜です。趣味はエフェクエです、ついさっきもやってま〜したよ。どう、みんな見えてる聞こえてる?」
「何やってるの茜ちゃん?」
「いや、聞こえてるか確認を」
ポン、ポンポン
「……茜ちゃんこれって見えてるし聞こえてるってことでいいだよな?」
「はい、『見えてるよ』『オケオケ聞こえとるで』だそうです」
「それじゃあ茜ちゃんさっそく作戦通りに」
「はい、それではそれまで時間を稼ぎます」
「任せた」
俺が茜ちゃんに伝えた作戦は『俺がオモチャの包丁で犯人役をするから茜ちゃんは襲われて怖がる人の役をして』と。
十分後
ガラガラ
「おい、貴様命が惜しくば金を出せ!!」
「キャァァァこ〜わ〜い〜よ?」
俺は茜ちゃんの演技に驚きを隠せず
『ちょっと茜ちゃん!? もう少し感情込めて、流石に棒すぎるよ!! 演技ってバレるよ』とそう言ってしまった。
茜ちゃんは『安心してください』そういって再び演じた
「いやぁぁぁこ〜わいねぇ」
棒だった。
俺は気にしないようにして作戦を続けた
「刺すぞ、本当に刺すぞ!!」
「やめ〜て〜」
「ふざけるな刺すぞ!!」
すると茜ちゃんは
「刺せぇぇぇ刺せぇぇぇ!! うおぉぉぉぉぉ!!」
俺は驚きすぎて演じるのを忘れて『ちょっと茜ちゃん!? 一旦タンマ……何してんの!!』
俺と茜ちゃんのそんな会話がなぜかコントだと思われ、止まれなくなった俺と茜ちゃんは約二時間こんな感じの配信を続けていると
カランカラン
「あのここがあの配信してる場所であってますか?」
そういって俺と茜ちゃんの配信を見てお店に来てくれる人が徐々に増えてきた。
そして俺と茜ちゃんは毎日配信してみることにした。
すると登録者も増えマスコミも来るようになった。
コラボも時々するようになった。
……ようやく、ようやくお客さんが来なくて困ることはなくなったのだ!!
俺と茜ちゃんはいつも通りお店で待っている
「「いらっしゃいませ〜!!」」
おしまい
見つけて読んでいただきありがとうございます!!
今朝配信の夢を見たので少し付け加えて書きました