信じた少女
※登場する人物、地名、団体名等はすべて架空のものです。実在のものとは関係ありません。
また、作者は専門的な知識は無く、インターネット等で調べた程度です。その為、矛盾等があるかもしれませんが、ご理解ください。
善輝の書き込みが削除された同時刻‥‥
都内のマンションの一室で、スマートフォンを握りしめている一人の女子高生がいた‥‥
立花結衣 彼女は、削除される直前のそのスレッドを偶然目撃していた。
「……これ、本当だ」
彼女には確信があった‥‥
オカルト好きということもあるが、何より彼女の父親は資源エネルギー庁の官僚だった。
最近、父が家で「もう終わりだ」「席が足りない」と、うわ言のように呟いていたのを思い出していたのだ。添付されたデータグラフの精巧さは、素人の偽造レベルを超えていた。
「皆に知らせなきゃ……!」
結衣は震える指で、削除される前に保存しておいたスクリーンショットを、自身のSNSアカウントに投稿した。
@Yui_Tachi:さっき掲示板で消された投稿。これ絶対マジだと思う!お父さんも様子がおかしいし、最近の異常気象も全部これのせいだよ! 政府は何か隠してる! #地球滅亡 #拡散希望
彼女のフォロワーは数千人。投稿は瞬く間に拡散され始めた‥‥
『マジ?』
『ネタでしょ』
『でもグラフ凄くね?』
通知が鳴り止まない。
結衣は明日の学校の事も忘れ、遅い時間にもかかわらず、拡散を続けた‥‥
ピンポーン……
だが、唐突に鳴り響いた玄関のチャイムに、結衣は一抹の不安を覚える‥‥
深夜2時。こんな時間に来客?
結衣の心臓が早鐘を打つ‥‥リビングの方から、父親がドアを開ける音が聞こえた。
「はい、どちら様で――」
ドスッ。
鈍い音。そして、父の呻き声すらなく、ドサリと何かが倒れる音。
「……お父さん?」
結衣が部屋から出ようとした時、リビングから母親の悲鳴が上がり――それも一瞬で途切れた‥‥
足音が近づいてくる。 重く、正確で、躊躇のない足音が、結衣の部屋へと向かってくる。
「嘘……嘘でしょ……」
ドアノブがゆっくりと回る。 結衣はスマホを握りしめたまま、部屋の隅で凍りついた‥‥
開いたドアの隙間から、消音器付きの拳銃を持った、黒いスーツの男がぬっと入ってくる。
「ターゲット確認。情報拡散源の『実験体2号』を確保する」
男は事務的にそう告げると、結衣のこめかみに銃口を向けた‥‥
意識を刈り取る麻酔弾が発射される直前、結衣は理解した。
あの書き込みは真実だった‥‥そして、それを信じた代償に
私は日常のすべてを奪われたのだ、と。




