5年と50年の邂逅
西暦20XX年‥‥地球から遥か彼方の宇宙空間。
何もない虚空に突如として「ワープゲート」が開き、巨大な質量が出現した。
それは、全長3キロメートルにも及ぶ恒星間移民船『ノア・プライム』を旗艦とする、計12隻の地球脱出船団だった。
「……長かったな」
艦橋(ブリッジ)で、一人の男がワイングラスを片手に呟いた‥‥
政府高官・文本彩斗。かつて善輝をブラックホールへと突き落とし、嘲笑った張本人である。
「どうだ、解析班。あの星の状況は?」
「はい、閣下。大気組成、重力ともに地球と酷似。……完璧な環境です」
「先住民は?」
「微弱な生体反応と、いくつかの集落を確認しました。文明レベルは中世程度かと。熱源反応も小さく、科学的な兵器を持っている様子はありません」
「中世レベルか。ならば問題ないな」
文本は鼻で笑った‥‥彼らが連れてきたのは、選ばれた富裕層2万人と、最新鋭のAI兵器で武装した制圧部隊だ。剣や弓しか持たない原住民など、掃討するのに1日もかからないだろう。
「この星を『新地球』と名付ける!‥‥邪魔な原住民は『清掃』しておけ。我々の楽園に、薄汚い猿どもは不要だ」
冷酷な命令が下される‥‥彼らは気づいていなかった。
モニターに映っている景色が、高度な魔法技術によって作り出された「幻影」であることに。
そして、その幻影の薄皮一枚下には、彼らの想像を絶する「悪夢」が待ち構えていることに‥‥。




