腐敗と既視感
事件が起きたのは、国境付近にある帝国の寒村だった‥‥
その村の人々は、帝国の重税と飢餓に苦しみ、豊かな善輝の国への亡命を希望していた。善輝はそれを受け入れ、輸送部隊を派遣した。
だが、到着した善輝たちが目にしたのは、地獄だった。
「……なんだ、これは」
村は焼かれていた。
広場には、亡命を希望していた数百人の村人たちが集められ、帝国の騎士団によって包囲されている。 指揮を執るのは、煌びやかな鎧を着た帝国の将軍だった。
「聞け、蛮族の王よ! このゴミどもはお前の国に行きたがっていたそうだな?」
将軍が嘲笑いながら、一人の老婆の髪を掴んで引きずり出した。
「だが、帝国の所有物を勝手に持ち出されては困るのだよ。たとえ使えないゴミであってもな」
「……その人たちを放せ。彼らは武器を持たない民間人だ」
善輝が静かに告げる。だが将軍は鼻で笑った。
「民間人? 違うな。これは『資源』だ。我々に税を納めるためだけに生かされている家畜だ。……そして、役に立たない家畜は処分する。それが所有者の権利だ」
その言葉を聞いた瞬間、善輝の背筋に冷たいものが走った。
『棄民計画』
『選ばれた2万人以外は、この星と運命を共にしてもらう』
『我々の未来の礎となってくれたまえ』
かつて自分たちを見下し、切り捨てた地球政府の高官たちの顔が、目の前の将軍と重なる。
「やめろ……」
「我々に逆らう見せしめだ。おい、火を点けろ」
将軍が手を振り下ろす‥‥魔導師たちが炎の魔法を放った。
村人たちの悲鳴。赤々と燃え上がる広場。
「やめろと言っているッ!!」
善輝が叫び、重力制御で飛び出そうとする‥‥だが、遅かった。
集められた数百人の命は、一瞬にして炭と化した。将軍は燃え盛る死体の山を見て、高らかに笑っていた。
「ハハハ! 見ろ、綺麗に燃えたぞ! これでお前らの手に入る労働力はゼロだ。ざまあみろ!」
損得勘定ですらない‥‥ただ相手を不快にさせるためだけに、自国の民を虐殺したのだ。




