見つけた
配信を開始し、1時間が経過していた。
リスナーにも趣旨を説明し、情報を提供してもらいながらも捜索を続けるが金色に輝くウサギの姿が見えることはなかった。
やはり私の見間違いなのだろうか。
「うーん、やっぱいない……。やっぱり見間違いかなぁ?」
「目撃例もそこまでないし、見間違いという可能性のほうが大きいだろうねぇ」
なんだったんだろうあの金色ウサギは。
私たちはすでにあきらめムードになっていた。
だがその時だった。
茂みから一角ウサギが飛び出してきた。そのウサギは金色に輝いており……。
「「あ」」
探していた金色のウサギだった。
「ちょ、いた……」
「テイムぅ!」
すぐにテイムを始めた。
光が包み込み、赤くなって消えていく。もう一度テイムを唱える。逃がすまいと矢継ぎ早にテイムし続け、取っておいたMP回復ポーションを飲みながら何度もテイムを唱えていると。
「あ、青い光で止まった……。ってことは」
「テイム完了だ」
金色に輝くウサギをテイムしたのだった。
すると、私の目の前にウインドウが急遽出現したのだった。
『金色ウサギによる特別ストーリーを開始します』
という文字列が表示されたかと思うと、私たちの目の前には巨大な竜巻がいつの間にか迫ってきていた。
いつのまにか発生していた竜巻。私たちはぎょっと竜巻を見つめる。
「なにあれ!?」
「何かわからないがこちらに向かってきているね」
「に、逃げよう! あれに巻き込まれたら大ダメージでしょ!」
「いや……もうすでに遅いんじゃないか?」
竜巻が平原の茂みをかき分けながら目の前に迫っていた。
強風が、竜巻が私たちを引き込もうとしている。体が浮き始め、私は近くにあった石につかまった。
だがしかし、その石がめくれ、私は竜巻の中へと吸い込まれていく。
「クオン!」
「アカネェ!」
アカネが私を助けようと手を伸ばす。
だがしかし、その瞬間アカネの身体も浮きはじめ、竜巻の中に吸い込まれていったのだった。
私たちは手をつなぐ。
「ぐるぐる目が回るぅうううう!」
「いったい何が起きるというんだろうねぇ……」
私たちは竜巻の中をぐるぐると回転していたのだった。
手をつないでいた私たちの手がどんどんと離れていく。
先ほどの文字列。金色ウサギによるストーリーと言っていた。あの金色ウサギをテイムしたことによって始まった何かしらのストーリーとでもいうのだろうか。
テイムしたことは悪手……だとは思わないが、これはアカネも知らなかったことなんだろう。アカネも何が何だかわかっていない様子だ。
「クオン~~~!」
私は竜巻の中で金色の光が見えてきた。
その光はいつのまにか私を包み込んでいる。アカネの姿が見えなくなり、私はその光のまぶしさに思わず目をつぶった。
そして、いつしか風はやんだ。
竜巻から解放されたのか、風がなくなり、私の身体はそのまま落下し始めていたのだった。
「これ落下ダメージで死ぬんじゃないだろうか」
目の前に迫るは大地。
私は初めて死ぬんだと覚悟を決め、目をつむる。だがしかし、地面に激突した感覚はあれどダメージを受けた感覚はなかった。
むしろ、しゅたっときれいな着地をいつの間にか決めていたのだった。
「……おろ?」
ここは、どこだ?




