第十六話 ねじれの位置・後編
「それで、話を戻しますが」
「はい」
流れるように話を戻され、俺も東雲も意識を切り替える。元を正せば原因を探るのが目的だった筈なので、どこまで研究部門が関与しているのかを捜査するのか。
「アポイントメントを取り、正面から調査を行うのと同時に裏からも探りを入れます。具体的には医療部門、魔術部門を巻き込みます」
「医療部門も?」
「はい。藍沢先生による抜き打ちの検診、ですね」
スミレがぶるりと身を震わせてから逃げるように俺の腕の中に戻ってくる。そんなに検診が嫌か、そういえば勢いよく首を振っていた記憶もあるな。
「アポイントメントをとった俺、抜き打ち検診を行う藍沢先生、新規に責任者となったため顔合わせとして向かうロイド魔術職員。大きく分けると三ヶ所ですね」
二人から許可は得ている、となれば俺達だって否はない。よく許可が下りたなと思うのと同時に、まぁ藍沢先生だって仕事を増やされたくないだろうという確信もあるので。
「藍沢先生の部下として一人、ロイド魔術職員の部下……これに関してはどちらかというと護衛の役割が強いですね、が一人。場合によっては俺の部下として一人、でしょうか」
「場合によっては」
「ええ。俺に部下がついたことは知られていても、わざわざ研究部門に連れて来るとは思われていないので」
「なるほど」
俺が噂になった以上部下がいないとは言えずとも、部下を連れていないこともあるだろうと思わせるだけの実績はあるのか。確かに俺が来るまでは一人で動いていたようだし……寧ろ、部下がついたというのが嘘だと思われている可能性すらある。
「因みに。青藍は都合上研究部門には連れていけないので緊急避難経路を作成してもらっています。遣霊はそこで待機となりますので」
「とーたと!?」
「みゅ」
「……一応言っておきますがイデアもですよ」
「!?」
名指しされたイデアがピンと皮膚を逆立てる。ついて来る気だったのかコイツ、スミレも驚いている辺りついて行かせる気だったのかコイツ。
「現段階では東雲さんは藍沢先生、志葉さんはロイド魔術職員についてもらおうかと。何か提案などがあれば聞きますが」
「いえ特には……?東雲は大丈夫なのか?」
「はい。藍沢先生なら……」
藍沢先生への信用凄いな。分からなくもないけれど。あの人は医療部門の割に職員相手にも勝てそうな謎のオーラがある。藍沢先生の部下として動くというのは決して護衛としてではないんだろうと確信出来るくらいには。
「あ、ノエルさんは?」
「ノエルさんは別枠で動くそうですね。厳密には、俺達が囮です」
アランさんの言葉に全員が目を丸くする。……もしかしてノエルさん、あの人懐こさだけじゃなく隠密での情報収集も出来るんだろうか。
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