第十四話 始まりを語らう
「そういえば、二人はどこ出身なんだ?」
「出身?」
「うん。最近雪代さんに聞かれたから気になって」
「意外ですね、雪代さんが外に関係する話を振るの」
大雅の驚いたような声音に、スミレがパチリと目を開く。煩かったんだろうかと思っている内に二度寝の姿勢に入ったが。声に反応しただけで興味は無いのか。まぁないだろうな。
一旦情報の整理をするからということで遣霊達と待機を命じられた俺達。最初の方は元気よく遊び回っていたうぱー達だけど、やがて疲れたのか今は全員夢の中だ。スミレだけは特に遊び回ることなく最初から微睡んでいたので多分声は聞こえているんだろう。
「俺は北」
「ああ同郷ですね」
「東雲は?」
「私は……中央ですね」
「「中央!?」」
「?」
中央といえばヒュリスティック本部、つまりこの付近ということだろうか。二人が驚いているということは多分珍しいんだろうが。
「中央って……え、もしかして上層部かアカデミー関係者とかだったりします……?」
「ええと……一応、両親はヒュリスティックの職員と、アカデミーの教師です」
「嘘でしょエリートじゃん」
「よくそんな相手にちょっかい出しましたね魔術部門……」
「東雲姓を名乗るのは私だけなので……」
東雲の控えめな発言に入江も大雅も顔を見合わせる。出会ってから今まで何かと情報に不穏な部分が多い東雲だったが、ここまで来ると逆に何の情報なら安心して聞けるのか気になってきたな。
「いやでもそうか……西は少ないって聞いてたけど、本当に俺だけとは……」
「大雅は?」
「私は北です。一応禅譲ですので」
つまりこの四人だと北出身が一番多いのか。入江は文脈から察するに西だろうから、南と東は一人もいない。
「南はともかくとして、東は……西に次いで多い筈なんですけどね」
「西に比べると戦い慣れしてる人も多いだろうし……」
余程意外だったのか、大雅と入江の声のトーンが高い。……アランさん達はどこ出身だろう、以前シンさんが”一般区画にしては”という言葉を発していたので、もしかしたら一般区画出身ではない……それこそ中央などの出身者もいるのかもしれないが。
「……皇さんは、北でどのような生活を?」
「ん……師匠と一緒に放浪してた。師匠が仕事受けてるときは師匠の知り合いと一緒に過ごしてたけど、知り合いもみんな各地を転々としてたから厳密にはこれといった家とかはない」
「ウォルクさんの知り合いということは……布袋さんですか?」
「いや、布袋さんと会ったのは一度だけだったし……いつもは季良さんと紗弥さんか、ギルベルトさんが来てた」
「あ、ウォルクさんは知ってます。たまに警備依頼を受けてくださっていたので」
師匠、傭兵とは言ってたけど中央にまで来てたのか。まぁどうもヒュリスティックにいたこともあるようだからどこにいてもおかしくはないのだろうけど。……その割にあの人から各地区の話を聞いたりはしなかったな、寧ろギルベルトさんに教えてもらう側だった気がする。
「ウォルクさんはとにかく神出鬼没でしたね……でもまさか、北で放浪していたとは」
……本人は特に何も言っていなかったが、もしかしなくても師匠は割と名の知れた傭兵だったのかもしれない。
面白かったらブクマや高評価お願いします。喜びます。




