第十三話 囚われて、××××て
「外羽華蓮。東部の森に近い場所に住んでいた人物で、人付き合いは薄かったけど周囲の住人からは”修理屋”として親しまれていたらしい。子供の風貌だったが実年齢、家族構成共に不明。ただ東部、加えて森の近辺ということであまり問題視はされていなかったそうです」
「あー……森は割と考えるだけ無駄、みたいな部分あるからな」
「人間じゃない可能性もある」
「アルアル」
ゆっきー、ラリマー、ワカバの三人がコクコクと頷く。そんなに酷いのか妖精の森……いや酷かったな。人間がいないせいで常識が通じない世界だったわ。
「偽装技術に?修理ってどうなの、ちゃんと直せてた訳?」
「見せてもらいましたけど……多分あれはちゃんと修理してたと思いますよ?半永久的に偽装が適応されるなら話は別ですけど」
「そこまでいったらもう修理と言って差し支えねぇよ流石に。……いやでもそうか、やけに特殊な特性持ってんなとは思ったが……同郷疑惑があんのかよ」
納得と呆れが混じったような息を細く細く吐くゆっきー。妖精の森、と呼ばれてるあそこは名前とは裏腹に妖精なんて殆どいない……勝手に喧嘩売ってそのまま破滅したから今観測出来る妖精ってもう訳ありしかいないんだよね。それなのに森は土地の方の影響もあって未だに人間を惑わせる。内部じゃないとはいえ周囲に住んでいたんなら惑わされていない方がおかしいってもんだ。
「入江は?」
「華蓮がいた頃は一緒に住んでいたみたいですね。華蓮がある日を境に連れ歩くようになった子、まるで昔からいたかのように馴染んでいたけれど、実際に東部にいたのは数週間だったみたいです」
「話を聞く限り……外羽さんは入江さんを家族同然に扱っていたようですが。それでも研究部門に狙われた、と?」
「そうですね……それまでの依頼とは毛色が違ったのを覚えてます」
「……家族がいることを差し引いてでも手に入れたかった、って可能性があんのか」
「魔道具の素体にされてるのは間違いないっぽいしなぁ……」
個々の情報じゃ確定出来なくても、疑惑から入手していった情報を集めたら答えは自ずと絞られる。研究データに個人情報、それに研究部門の外出記録と使用された魔道具の残滓から解析された術式の内容。頻発中の怪異の襲撃に関してはまだ情報が足りないとはいえ、魔術部門と手を組んでいたと判明しているからには、研究部門の方だって清廉潔白ではいられない。
「……入江さんが酒見事務所に赴いたのは、外羽さんの捜索依頼を出すため、でしたよね?」
「はい」
「入江さんは、どこまで知っているんですか?」
「……」
ノエルが初めて言葉を詰まらせる。記憶を探っているのか、それともアランの真意を見極めているのか。実際、アランはどういう意図で今の質問を投げかけたんだろう、ちらりとワカバ達と顔を見合わせる。
「……確か、当時は華蓮が大人たちに”連れていかれた”ということくらいでした。依頼を受けた俺達が最終的に提供した情報は……似たような被害がゼロじゃないということと、可能性があるとしたらこのヒュリスティックだろう、ということくらいです」
「成程。道理で……」
「アラン、説明」
ゆっきーに促されてアランは場違いな笑みをひとつ。こいつがちゃんと説明するとは思えなかったけど、ここで聞いとかないとそれこそ一言だって説明しないだろうという判断だった。
「だって、」
無邪気な表情浮かべてシレっと爆弾発言を落とす姿が過る。おかしいな、アランはどっちかというともう一人の方によく似てたと思ったんだけど。説明も碌にせず、勝手に納得して勝手に結論を導くあの傍若無人の権化が遠くでとぼけた表情を浮かべているのを幻視した。
「せっかく逃がされたのに、帰ってきた理由が分からなくって」
何言ってんだコイツ。
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