第十二話 いっそ暴力的な無垢であれ、と
「液状化した怪異?」
「それオーシャン管轄じゃない?」
「扱いとしては擬態型ですか」
「そうですね。近付いた時点で動くので、そういうものがいると分かっていれば対処出来ますが……」
「気配もないとなると厳しい、ですよね」
俺の報告に三者三様の反応を見せる四人。青藍さんは非常に複雑そうな表情を浮かべ、兄さんは怪異の発生経路を考察し、皇と東雲は怪異の脅威について憂慮する。
今回は俺達がいた、だが万が一遣霊達しかいない状況で襲撃されていたらどうなっていただろう。みうやスミレのように殆ど主人から離れない遣霊よりも、うぱーやすもものように割と気ままに動く遣霊達が襲われていた可能性は非常に高い。
「……リアム。そんな表情しなくても大丈夫」
「でも」
「俺達は遣霊を庇護すべきものとして扱い、事実庇護すべき存在として彼等も定義されているけれど────だからといってあまねく脅威に無防備な存在ではないことは知ってるはずだ」
兄さんの手が頬を滑り、指先が目元を拭う。……兄さんはみうの強さを知っている。あの柔らかな許容がただの救いではないことを知っている。圧倒的な不可侵の存在として認められるからこそ、兄さんは傍に置くことを許せる。
「仮にそうだとしても、驚かせた」
「守ろうとしてくれたことも事実だよ」
「間に合わなかった。守れなかったんだ……」
「刃を向けた訳じゃないのでしょう?俺のように切っ先を突き付けた訳でも、有象無象として切り捨てた訳でもない。リアムは大雅が動いたことを認めて脅威を排除することを選択した。二撃目が来ないように動いた。それは誇るべきことだよ」
俺の中で思考を介さなかった行動も、兄さんの手にかかれば理由を与えられて後悔を和らげる一つとなる。ずっとずっと、兄さんが示す優しさという上塗りに俺はいつだって思考を委ねている。
「ぴ!」
「そういえばなんでうぱーはここに?」
「ぴょ?」
皇に指摘されたうぱーが不思議そうに首を傾げ、つられて皇も首を傾ける。ついでに真似をしたスミレがうぱーの髪にぶつかってぶんぶんと頭を振っていた。うぱーは真似しなくて良い。
「みゅん、み?」
「そうですね……オーシャンで対策と異常がなかったかは聞きましょう。青藍を出し抜くほど怪異が脅威化しているとなれば由々しき問題です」
「久し振りに全体スキャンと……必要ならゆっきーに術式追加してもらうかぁ……」
「おや珍しい」
「シンに煽られるくらいなら術式張られる方がマシ」
「そんなにですか」
「やるべきことをこなせないのは俺のプライドにも関わるからね」
術式を追加することに否を唱えることはしないが……雪代さんの協力を仰ぐことについてシンさんは煽らないんだろうか。雪代さんが活躍出来る場を奪わないという判断で煽らないだけのような気もするな。
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