第五話 賽は大福と共に
「ルコン。正座」
「いやーん」
「アキラメロコンチャン」
「傷は浅いうちが良いぞこんちゃん」
「ま、正座で済んでるうちが華だわな」
何だろうこの状況。ルコンさんを正座させるウロさんと、それを見てやいのやいの言葉を飛ばすワカバさん、ラリマーさん、雪代さん。うぱーくんとレンはお土産と称して渡された大福をもちもちしてる。俺もひとつもらったけどおいしいなコレ、どの辺りのお店で買ったんだろう。
「このごたごたが多い時期に仕事を増やしやがって……」
「ごめんなさーい」
「反省してるなら事前に連絡入れることは出来たよな?」
「えへへ」
「おい反省しろ」
「反省してまーす」
口調は軽いが、ルコンさんなりに反省はしているのかウロさんから本気の怒りが見えない。少しの沈黙の後、正座の上に座ることで手打ちとしたのか説教は終了した。
「んー!」
「ああレンが大福に食べられてる……」
「んん!」
「ゆっくり食べようねレン」
うぱーくんや俺にとっては一口サイズの大きさでも、レンにとっては大きな大福。餅は喉に詰まらせる可能性があるからね、ちゃんと小分けにして食べましょう。
「ちっちゃいお口だなー」
「そりゃ身体も小さいの、で…………」
つん、と頬をつつかれたレンが口をもぐもぐさせながら視線を向ける。誰につつかれたのかを理解したんだろう、ぱぁっと表情を明るくさせたレンが、嬉しそうに両手を上げた。
「んなな!」
「お、覚えててくれたのか!嬉しいぞー!」
「なん!」
「ノ、ノエルさん!」
「うん!綾華も久し振り!」
にこやかな笑みを浮かべて俺達に挨拶をするノエルさん。以前会ったときと全然変わらない……相変わらず若々しい青年のようなお人だ。
「どうしてここに……?」
「ルコンから綾華が職員になったって聞いたからな!久し振りだし会いに来た!」
「なん!」
「勿論レンにも会いたかったぞ!」
「だんなな!」
レンもノエルさんに会えて嬉しそう……なのは何よりだが、俺はというと予想外の人との再会に困惑が止まらない。
「誰?」
「初めまして!一般区画で活動してる酒見事務所の事務員のノエルです」
「おう……俺は雪代、でこっちがラリマーとワカバ」
「ヨロシク……」
「よろしくー」
そう、酒見事務所。俺が小さい頃に華蓮を探したくて依頼を出した場所。……本当はそれ以外にも理由があったけど、とにかくそこで俺は生きていく術とか、職員になる話を聞いたんだ。
「ルコンの知り合いってーことは、今回連れてきたって言ってた奴か」
「そうだぞ!」
「元気だねー」
「元気な方が話しかけやすいだろ?」
いたずらっこのように微笑むノエルさんの邪気のなさにほだされたのか、ちょっと離れていたワカバさんがふよふよと近付いて来る。ノエルさんを挟むように俺の陰からぴょこんと頭だけ覗かせれば、少しだけ目を細めて真似するように遊んでいた。
「うぴ?うっぱ!」
「あ、この子はうぱーくんです。今はいませんけど……俺の上司の遣霊で」
「リアムさんだろ?さっき顔合わせしたときにおかしいなーとは思ってたけど、この子か!」
「ぴゃ!」
楽しそうにうぱーくんと戯れるノエルさん。ワカバさんも混ざれば一瞬で馴染んでしまった。そういえばノエルさんは知らない人でも一瞬で仲良くなれる人だったなと思い直す。面倒見が良いし、人との距離感の取り方がとても上手い。
「少しの間、ここで俺お世話になるからよろしくな!」
「はぁ……え?」
「何かあんの?」
「ちょっとした依頼だぞ!」
…………依頼?
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