表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第四章 あの日、伸ばせなかった手を
85/570

第二話 そこで、貴方と出会ったのです

「ぴょー?」

「なん?」

 ルコンさんの生息域……と呼ばれる、大きなプールがある場所で、プールサイドをてちてちと走り回りながらルコンさんを探すうぱーくん。レンもプールを覗き込んで首を傾げているけれど……俺からみてもルコンさんの気配はない。

「ルコンさん……いないみたいだね」

「ぴょお?」

「んな?」

「あれ、入江じゃねえか。今日はルコンいねぇぞ?」

「ぷぁ!」

「なんな!」

 後ろから声を掛けられて振り返る。ひょいと顔を覗かせた雪代さんが近付いてきたことでうぱーくんとレンから歓喜の声が上がった。

「おはようございます雪代さん」

「おうおはよう。うぱーとレンもおはよう」

「うぴょ!」

「ななな!」

雪代さんに撫でられて二人がふにゃふにゃと笑う。可愛いな……と思ってたら何故か俺も撫でられた。

「雪代さん?」

「え、違った?」

どうやら視線を羨んでいると認識したらしい……雪代さんの手は思っていたよりも優しくて、嫌という訳でもなかったので言葉が萎む。結局たっぷりと撫でられてしまった。

「あの……それで、ルコンさんがいないとは……?」

「最近大人しくしてたからな。ちょっと外に行ってる」

「ぴ!」

「外?」

「おう。よくあることだぞ」

……よくあっていいことなのだろうか。まぁ外に出てはいけないということはないだろうけれど。純粋に重戦闘区域で外に出るのはアランさんとあやめさんだと聞いていたからかもしれない。

「ぴゃー!」

「おーあんまり遠く行くなよー」

「ぴ!」

 ぱしゃぱしゃとプールに飛び込んで遊ぶうぱーくん。レンには流石に深すぎるから近くにあった桶に水を張る。あまり水遊びをしたことがない故に水面を叩いてるけど、楽しいんだろうか。

「そういや、お前一般区画出身だっけ。どの辺?」

「東……じゃなかった、西のはずです」

「西……西なぁ、あんま詳しくないけど、確かウロは西出身なんだよな」

「なん?」

「俺は東出身」

 ざっくりとした分類だが、ヒュリスティック本部であるセントラルを中央として一般区画は東西南北に分けられている。その中でも苛烈な北、不可侵の東、平常の西、平穏の南といった風に認識されており、西と南は特に治安が良い。

「重戦闘区域にいるやつの殆どは北出身だからな。西っつーのも珍しい」

「職員になる人物では西が一番多い筈では?」

「それはそう。だって南はそもそも志願率低すぎるし、北と東は人が少なすぎる」

「なん」

南が平穏すぎるが故に戦闘技能が育たないことは少し聞いていた。東には妖精の森があり、人が住める区域は北東の極一部だけとも。北からの人員が少ないのは純粋にあそこは一般区域とは名ばかりの戦場であるが故だろう。

「じゃあ雪代さん、妖精の森を見たことあるんですね」

「森……まぁ、あるな」

「なんな」

「どんな場所なんですか?」

「どんな……」

んー?と、言葉を選ぶ様に空を仰ぐ雪代さん。真似するようにレンも首を傾げながら雪代さんを見上げている。転がらないように手を添えれば、タイミング良くレンが手の中に転がり込んできた。

「なんつーか、でかい」

「でかい」

「おう。想定の倍くらいのスケールがある」

 でかい、とは何を指しているのだろう。どこか遠い目をする雪代さんに詳細を聞こうかと思ったが、その前にうぱーくんが帰ってきてしまい有耶無耶になってしまった。

面白かったらブクマや高評価お願いします。喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ