第二十一話 騒動の裏で
「ねぇ」
表情を消したソウが静かに大雅へと呼びかける。冷ややかな視線は完全に見知らぬ相手へ向けるもので、隠すつもりのない軽蔑が滲む。
「?どうし……」
「大雅を返してもらえる?」
トン、と軽く指先で空間を弾いて大雅を射抜く。容赦のない攻撃だった、一応肉体の方は大雅本人だと踏んでるんだけど、ソウからしてみればそんなこと知ったこっちゃないらしい。肉体の方はある程度治るからかな。
「――随分と過激だな」
「何度も言わない。大雅を返して」
最早意思疎通が出来る存在じゃない。自己の目的を達成するためには手段を選ばない、駆け引きに頓着しない相手ってのはたまに見るけど、ソウはその中でも妖怪寄りの反応が多い。実は大雅よりソウの方がよっぽど妖怪染みてるっていうのは禁句かな、遣霊がいるだけで人間扱い受けられるんだから世界って不思議だよね。
ソウの圧に負けたのか、それとも俺の存在に気付いたのか、結局何がしたかったのか分からないまま大雅の中にいた何かは霧散する。倒れた大雅に駆け寄るソウにさっきまでの怜悧な気配はなくて、俺にしがみついてたすもも君も安全だと判断したのか二人の元に駆け出していく。
「んー……犯人かな」
「手引きはしてないけどね」
「あ、青藍」
両腕と頭に遣霊貼り付けてるの面白い構図だな……三人もいたら連れ歩くのも大変だろうね、全員大人しめだからマシかな。
「怪異の方、魔術部門の負の遺産」
「嘘でしょまだあったんだ」
「見つけたっていう報告はあったんだけど処理するために向かってる途中で脱走された」
ああ、だから手引きはしてないと。……でもそうなると被害は魔術部門に集中しそうだよね。俺の疑問に答えるように青藍の言葉は続く。
「明らかに外から破壊されてた上に、転送されたんだよ」
「それ手引きしたって言わない?」
「……転送装置自体は負の遺産」
「ちょっと負の遺産多すぎない?」
「いっそあの辺り一回潰した方が良い気がしてきた……」
青藍がそんなこと言うなんて相当だね。はぁ、とため息を吐いた青藍の頭の上からイデア君がころころ転がり落ちる。スミレ君は一切興味なさそうにうとうとと……流石に肩車状態で寝たら落ちちゃうかな、ひょいと抱え上げたら少しだけ視線を向けてから本格的に寝る体勢に入った。図太いね君。
「目的は?攪乱?」
「禅……大雅が狙われてたんならそうなんじゃないの?」
「てことは警備隊の方かなぁ……大雅より強い相手が警備隊にいるとは思わないんだけど」
「わざわざここで狙う意味も良く分かんない」
「大雅がここに配属されたことに嫉妬してる相手とか?もしくは禅譲の方が動いたんじゃないかって思ってる」
「めんどくさ……」
「本当にそうだよ」
全くの無関係とは言わないけど、ごたごたが続いてる今じゃなくても良くない?とは思っちゃうよね。ただでさえイレギュラー続きなのになぁ、正直警備隊の方まで構ってる余裕はないよ。
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