第十九話 収束を経て
「ななな、なーな」
「なぁす!」
「ぴょー?」
手のひらサイズから、うぱー達と同じくらいの大きさへ。入江の元へ迷うことなく辿り着き、錯乱状態だったらしい入江を落ち着かせた手腕は流石遣霊、と言わざるを得ない。
入江が怪異の本体を仕留めたことで騒動は収束した。合流した時には既にレンが入江を宥めていたのでそこまで正確な惨状は知らないが、執拗に叩き切られたと思しき頭部は見るも無残な姿になっていた。現実逃避するように掃除が大変そうだとぼやいた青藍さんの気持ちは良く分かる。
「入江は……」
「寝てるだけだよ。恐らく何らかの精神干渉は受けてるけど……すごいね、自力で乗り越えたんだ」
「なぁん……」
「ああごめん。……レンとしては、無理してそうで嫌だよね」
「なんな……」
落ち込むように声のトーンを落としたレンを優しく撫でる宇月。遣霊を連れていることからも大して心配はしていなかったが、ここまで親身になってくれるのは珍しい。上辺ではない言葉を掛けられたレンも一瞬目を丸くしたが、感謝を示す様に力なく微笑んだ。
「ぴ、ぷ」
「すーな!」
「ぴょ!」
「なつ、静かに」
「うぱー、騒ぐならルコンさんのところに行くか?」
それぞれ主人に叱られたことでトーンダウンする二人。……一応入江のことが心配ではあるんだろう、ただそもそもが黙ることを知らないうぱー、すぐに小声で喋り出した。小声であるのと流石に完全に沈黙するのは無理だろうと判断してそのままにする。
「大きくなったとはいえ……特に体に不調はない?」
「なん」
「なにかあったらすぐ言ってね。入江くんも目覚めてレンくんが倒れたりしたら不安になるから」
「なんな!」
元気よく頷いたレンにつられるようにうぱーとなつも首を振る。入江にぴったりくっついて離れないレンが何故大きい姿のままなのかは分からず、どうやらレン自身も何故大きいままなのか良く分からないらしい。
「ところで。……重戦闘区域が襲撃されることって有り得るんですか?」
「いや。……有り得ないと言い切れるわけではないが、頻度としてはかなり低い。特に強い怪異であればあるほど目立つからな」
「じゃあ……今回のは」
「……まぁ、原因の究明は必要だと思う」
最近だと東雲の一件もある。じわじわと不穏な影が忍び寄ってきているように感じてあまり気分は良くないが、この直感を無視する方が余程不安だ。せめてウロさんには相談するべきだろうか、シンさんには少し話を流しておいた方が良いような気はする。
「……」
「何だ?」
「あ、いえ……何というか、リアム……さん、は比較的傷が新しいから、意外だなーって……」
「?」
「ナンデモナイデス。忘れてください」
何なんだ、一体。
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