第十五話 内に秘めたる苛烈
「楽しそうだったね大雅」
「ひゃい」
「俺とは戦ってくれないのにいっぱい楽しそうにしてるの、ずるい」
「ぴゅーい!」
頬を膨らませて禅譲……もとい、大雅の頬を摘まむソウさん。周囲でうぱーくんが走り回ってるのはどういう意図なんだろう……あ、ルコンさんに捕獲された。
「まーまーソウくんステイステーイ。今回は実力測定も兼ねてたからね?」
「じゃあ今から手合わせしてくれます?」
「ひょんなおしょれおおひ……!」
「なんな?」
「ほら!絶対やってくれない!」
ああ、恐れ多いって言ったのか。予想よりも好戦的なソウさんは不満そうにぐいぐいと頬を引っ張っているが、大雅にダメージはなさそうである。うぱーくんも真似するようにルコンさんの頬を左右に伸ばして遊んでいるが、ちょっと伸びすぎじゃないだろうか。
「俺には怪我しないようにっていうくせに……!」
どうやら俺と大雅の模擬戦が想定以上に激しかったのが原因らしい。俺も腕を吹っ飛ばす予定はなかったのでそれに関しては反省すべきかもしれない。容赦なく機動力を潰されて思わずムキになってしまった部分はある。
「ああこりゃ駄目だね、大雅くん一戦やるしかなさそうだぜ?」
「ぴょお!」
ルコンさんに匙を投げられた大雅が勢いよく視線を向けたけど、傍から見てる俺でも多分これは一戦やらないと機嫌は良くならないだろうなという確信があった。大雅本人も認めるほどの強者であるなら、満足に動けない現状にも不満があるのかもしれない。
「……分かりました。力不足ながら全力でお相手させていただきます……!」
意を決したように了承を示した大雅と、無邪気に喜ぶソウさん。レンを抱えたすももくんがすかさず俺によじ登ってきたから抱えれば、満足そうに居心地のいいポジションに収まった。
ソウさんは不思議な形状の剣を手にしている。切っ先がやや潰れた、細身の剣。どちらかといえばレイピアに近い形状なのだが、刀身に纏わせた水によって詳細が分からない。ゆらゆらと姿を変える水は恐らく特性……なんだろうか。
「ぴゃあ!ぴーぴゃ!」
「おっ、そうだねぇ水纏ってるからテンションアゲアゲかな?あんまり身を乗り出すとガラスとごっつんこしちゃうぜ?」
「ぴゅー!!」
「あばば」
「しゅ!」
地面に降ろした瞬間乱入しかねないうぱーくん。よく水辺で遊んでいるのは知っていたが、まさかここまで興奮するとは思わなかった。ゴチン!という派手な音がしたが本人は気にする様子もなくガラスにへばりついている。いつの間にかレンが肩に乗ってきたので片手を添えれば嬉しそうに密着してくれた。
「あの、ルコンさん」
「んー?」
「ソウさんの武器、少し……不思議な形状をしていませんか?」
「お、よく気付いたね。そうアレ銃剣」
「なん!?」
「銃剣?」
「うん。布袋くんが作った特別製だって聞いてる~」
成程銃剣。戦闘スタイルはさっぱり見当がつかないが、遠近どちらも対応出来ることだけは伝わった。
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