第十話 無関心ゆえに透けるもの
「禅譲大雅……さんですか」
「はい」
リアムさんの兄弟と聞いていたが、あまり似てはいなかった。薄紫色の瞳も、黒紅色の髪も、リアムさんを想起されるような色彩は何もない。
「……アラン・アンシエントです。二人は部下の皇志葉さんと東雲泰誠さん」
「「初めまして」」
読めない瞳でこちらを見据える皇さんと東雲さん。警戒とも少し違う、だが興味なのかと問われれば……首を傾げるだろう。観察されている、その表現が一番適切に思えた。
「警備隊からの監視だ。とはいえ、ソウの番でもある」
「あぁ……心配は要らない、と」
「少なくとも、故意に裏切る心配はしなくていい」
「そうか。お前が分かって受け入れてるのなら良い」
リアムさんとの口調は砕けており、甘さは見えないが必要以上に線を引いている感じもない。依然こちらを見続けている皇さんに対し、東雲さんはアランさんの傍で大人しく二人の会話を聞いているようだった。
「禅譲」
「はい。……あの、差し支えなければ大雅と呼んでください。家の名はあまり使いたくないので……」
「ん、……大雅」
「はい。何でしょう皇さん」
「俺も志葉で良い。それで、大雅は……妖怪?」
妖怪。番がいれば妖怪と扱われる、そのことを指しているのだろうか。質問の意図が読めずに僅かに首を傾げれば、つられるように首を傾げられた。
「妖怪……という、扱いではあると思いますが……?」
「でも警備隊に所属してるって聞いた。……確か、妖怪って重戦闘区域に集まるんじゃなかったのか?」
「あぁ……はい。確かに、本来ならば妖怪と認定された時点で収容されるはずでしたが……諸事情で私は番の公表をしていないんです」
「公表してない」
「はい。家が家なので……」
「?」
理解及ばず、といった風に眉を寄せて首を傾げる志葉さん。禅譲は一般区画でもそれなりに有名のはずだが、相当外界との繋がりがなかったんだろうか。もしくは純粋に南部出身か。
「禅譲は呪いを管理する家です。故に、怪異と同列に扱われることのある妖怪が輩出されたことなど認めないでしょう。……別に私は勘当されても一向に構わないのですが、私ではなくソウさんの方に被害が行ったら目も当てられない」
「ふうん……」
無関心にも近い納得の声。禅譲と聞いて驚かない相手というのは中々に新鮮だった。向けられる感情に快不快がないのが一番大きいかもしれない。
「志葉さん」
「はい」
アランさんの声に反応し、背を向けるその仕草にも躊躇いがない。変わった人だな、そう思うのと同時に少しだけ興味がわいた。
近いのは強者故の無関心。私に対して必要以上の関心は抱いていないが、敵意を向けた瞬間問答無用で制圧出来るだけの警戒心は持たれている。……今年の新人は、誰も彼もが曲者ぞろいなのかもしれない。
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