第六話 虚構と鏡像
嘲るような笑みで蹂躙する、その姿は悪魔よりよっぽど悪魔らしい。そもそも悪魔と呼ばれているリアムが特段悪魔らしさがない……無機質な強者であるだけで他者を害そうという気概がこれっぽっちもないのが原因の一つではあると思うのだけど。
俺達は明確に他人を煽り、悪意を騙り、そうやって世界と線を引く。傍に寄せれば淘汰される、それでも乞うしかないこの身は……うん、正直どうしようもないなとは思っているけど。手放して悪意に呑まれてしまうくらいなら束の間の幸福を享受して緩やかに破滅したい。
「変わりそうじゃない?」
「……何が?」
「二つ名。ほら、リアムよりぽさがあるじゃん」
「相対すればそう思う……だろうが、表に出てこない相手の戦闘スタイルをどう把握しろと」
「警備隊がそう認識すれば、案外挿げ代わる可能性もあるかもよ?」
「……その場合、リアムは魔王か?」
「あはっ魔王!いいねぇ一番それっぽい!」
「…………」
目元が見えないのに呆れられた気配があった。お面のせいで表情どころか一切の顔見えないけど、割と隣にいる同類……エンデは感情が分かりやすい。こんな分かりやすいのに巷じゃ”能面”とか呼ばれてるの、ちょっとした不思議だよね。
虫の頭でも模したかのような異形の面をつけた、白髪長身の存在。モデル体型……というには凹凸がなさすぎるし肌露出がなさ過ぎて遠目から見ると髪以外真っ黒とかいう完全不審者な妖怪なんだけど、これでも分類的には変異種、一番人に近い存在だったりする。肌は病的なまでに白く、特性が強く顕れているが故に仮面を手放せないとかいう結構散々な擬態ではあるけど。
俺や青藍は妖怪の中でも一際強い……正確には、俺と青藍はもはや妖怪ですらない。妖怪と怪異の線引きをどこにするのかというのは曖昧で、俺達だって約束がなければきっと怪異としてどこぞの野に放たれていた。もしかしたらリアム達とは何度もやり合う仲になってたかもしれないね。
「……何を考えてる」
「別に?魔王と悪魔がいる区域とか、大分悪役染みてきたなぁとか思ってないよ?」
「…………そうか」
聞きはしたけどそこまで興味は無かったんだろう、エンデの興味は現在入江君に集中している。ある意味当然かもしれない、能力の予兆を完璧に察知するだけでなく、透明化すら見抜くとかあまりにも初動潰しに特化しすぎてる。普段出来るだけ姿を見せないようにしているからこそ、不意の発覚は避けたいもんね。
「入江くん、普段から特性を発動させてるわけじゃなさそうだけどねぇ」
「……戦闘中、が一番拙い」
「それもそっか」
不味いと知りつつも明かそうとしないのは何でだろうな。信用しきれていない……可能性も少しはあるけど、それ以上にエンデは入江君に対して警戒しているように見える。
「……そんなに怖いの?」
「…………彼奴は、入江家の者じゃない」
……ふぅん?
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