隙間に寄り添う
「うぴょぴょぴょ……」
「うぱーくん、残念ながら今日はルコンいないんだ……」
「ぴょ!?」
神妙な顔で話しているうぱーとウロさん。ルコンさんの不在がそんなにショックか。普段はルコンさんのいるいないに関わらず生息地で遊んでいるような気がするんだが。
「ぴゅ!ぴゃーあ!」
「言いたいことはよく分かるよ。俺も正直思ってる…………絶対アイツは重戦闘区域から出しちゃいけない」
「ぷ!」
「でもねうぱーくん。アイツは極論周囲に被害と墨をばらまくだけだけど、うぱーくんが傷付くのは俺が許せないんだ……だから俺と一緒に待ってよう、ね?」
「ぷぇー」
うぱーは幼いが馬鹿ではない。たまに考えなしに走り出すことはあれど、流石に周囲に止められれば三秒程度は静止する。そしてこれは遣霊としての性なのか…………誰かが寂しいと感じるならば、ただ寄り添うことを選ぶのだ。
「ぴゅーぴ!うぴゃ!」
「今日はウロさんと一緒か」
「ぷ?ぷぴょ!」
「リアムくんも一緒だって」
ウロさんが柔らかく笑みを浮かべる。職員になれず、されど半ば拉致られるような形でこの場所へとやってきたウロさん。扱いは殆ど遣霊と同じようなものだ、契りを、番を正しく把握することは難しく、故に彼等は重戦闘区域の中でしか自由がない。
職員は”人”がなるもの。”人”に番という概念はない。番という存在を求め、また手にした存在は”妖怪”と呼び管理される。……シンさんやルコンさんのように。
「……」
ウロさんのような境遇のひとは重戦闘区域ではそう珍しくはない。少なくともここで働いている職員よりは多く、妖怪と定義された彼らの実力は非常に高いからこそ……事情を知らなければ単なる”制御装置”として扱われる。遣霊への扱いよりも質が悪いかもしれない。
「リアムくん。おいで」
ウロさんの手招きに従って腰を下ろす。すかさずうぱーは膝を占領し、酷く上機嫌な様子を見せていた。
「ルコンが行ったってことはアランくんは大丈夫だよ。案外早めに帰ってくる可能性もあるよね」
「そう……でしょうか」
「うん。ルコン出したら大抵どうしようもない事態になるからね。普通に対処すると面倒だから連れ出したんだろうし……少なくともアイツ、気に入った相手は大切にするから」
「ぴゅん」
「うんうん。ああ見えて律儀だよ」
ウロさんが言うのならばそうなのだろう。温度の低下は如何ともし難いが、いいことを聞いた。膝上にいるうぱーもみうが早く帰ってくる可能性があると知り、謎の踊りで喜びを表現している。
「ご機嫌だねうぱーくん。楽しそうで俺も嬉しいよ」
「うぴゅ!」
「早く帰ってくるのなら……見込みのある人材はいなかったんですかね」
「うーん……そこは俺よく分かんない。……たださ、引き抜きって…………厄介事多いよね?」
……空き部屋の掃除をしておいた方が良いかもしれない。




