第二十一話 伏せる情報と、伏せていた記憶と・前編
「……はっ!?」
「おう起きたか。調子はどうだ?」
見覚えのある天井と、澄まし顔のレンリさん。何故、と問う前に軽く頭を振って思考をクリアにする。非常に不本意だけど気絶したんだろう、という確信だけはあった。医務室には珍しく誰もいない、わざわざ人払いをしたのか、それとも偶然なのか。
「意識は……明瞭です、ええ。……何がありました?」
「ま、ちょっとした牽制したら事故ってな。俺の不手際だスマン」
「レンリさんの……」
「そう。だがまぁ、当初の予定とはずれてたし……どうやら相手はアラン職員が同伴する読みだったみたいだし?そうなると洗脳染みた所業してくるやべー博士が来る可能性もあったからな。ある意味結果オーライだよ」
「洗脳染みた所業を……」
「ああ。利用されなかっただけマシだな」
そんな洗脳をするような相手が研究部門の博士にいる……それをレンリさんは知っているのか。アカデミーで会ったことがあるのか、それとも単に勤務年数の長さ故の知識なのかは分からないが、今回はレンリさんが同伴してくれたお陰で難を逃れたのかもしれなかった。
「因みに、土岐職員から情報は少し得られてな。どうやら土岐職員も沖名職員が禅譲にいた記憶はないそうだ。ついでにいうと土岐職員が沖名職員と懇意にしている訳でもなし、上司同士で仲が良いかも不明みたいだったな」
「そうですか……今回の面談もどうやら知らされていないようでしたし、土岐博士に情報を与えないようにしている……?」
「その可能性はない訳じゃないが…………禅譲家の博士だった筈だろ?嫌われてたのか?」
「いえ、土岐博士が全ての人間を嫌ってはいましたが。ちゃんと部下もいましたし相応の待遇を受けてはいた筈……」
あの家では珍しく、俺の事も兄さんの事も等しく扱っていたのを覚えている。とはいえ、どちらにも無関心、というのが正しかったので相対的に兄さんに冷たく俺に優しいように見えてはいたのだけれど。
「ひとつ気になったのは、私がヒュリスティックに派遣されていることを知っていた点です。……研究部門にも話を通しているんですか?」
「いや…………警備隊から人が来てることくらいは調べりゃ分かるが、個人名までは出されてないはずだ。重戦闘区域の管轄ってこともあって、詳細なんぞほぼ出ない」
「……連絡を、取っていると見るべきですかね」
「禅譲家と関わってないならそう見えてもおかしくはないな。尤も、土岐博士と警備隊が禅譲関係なく連絡を取り合ってる方が訳分からん状況なんだが」
今までは”禅譲家のお抱えだったから”土岐博士が警備隊と繋がっているのだろうと思われていた。だが禅譲と土岐博士に関係がないとなると話が変わってくる。
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