第十一話 後の今・後編
「正直これが代替品になるとは思えんのよなあ。自滅したいならまだしも、直接的な影響は気にしなくていい」
「……自滅目的だった場合、有り得るのはヒュリスティックから引きずり出すことじゃない?」
「ん?アカデミーは管轄外じゃないのか?」
「噂の件も含めると多分アランにお鉢が回ってくるよ」
「ああそう言えば研究部門の技術漏洩がどうとか言っていたか」
「どー?」
「他部門の後始末まで任されるとは大変だなアラン職員は」
「本当にそうだよ。自己責任に出来ないのかなアレ」
アランさん自身は気にしていないのだろうけれど、研究部門での失態なら研究部門が対処するのが筋というものだろう。とはいえ、勝手に動かれたときの被害も加味すると恐らく自分で動いた方がマシなんだろうが。
「それにしても……ふむ、誘き出せば館童子の影響も減るから当然と言えばそうなんだが。星の教団の介入を考慮していない辺りが浅はか……いやあの策略家がこんな罠を張るか?禅譲の独断と見るべきか……」
札木博士はぶつぶつとひとりごとを呟きながら思考に潜る。青藍さんは若干眉を潜めたけれど特段口を挟むことはせず、こちらに視線を向ける。
「……出来れば、アランに出られる前に対処したいんだけど」
「そうですね。ただ……こちらから打てる手はほぼないのでは?」
「あ、策があるならある程度協力するぞ?」
「ぞ?」
「お前が?何で?」
「何でってそりゃ……ミツバ達の保護もしてもらっているしなぁ。それに、別に俺自身は研究部門に思い入れとか殆どないし」
「なーい!」
「そうだぞあんまりない!」
ないんだ。いやこんだけさっぱりとした性格ならさもありなん、という感じではあるのだけど。ミツバくんをもちもちと撫でまわす姿だけをみれば研究部門の職員とも思えないだろう。寧ろ何で研究部門にいるんだ札木博士って。
「そういえば今思い出したんだが……入江が速度特化じゃないのは何か意味があるのか?」
「……はい?」
急に話が飛んだな。何が言いたいのか分からずぽかんとした表情を浮かべる俺と青藍さん。俺が速度特化……というのは、何の話だろう。俺達の反応が意外だったのか札木博士の表情も不思議そうなものに変わる。
「うん?だってお前、多分速度に全てのスキルツリー振った方が強いタイプだろ」
「すみません、言っている意味がよく……」
「……まさかとは思うけど、速度に能力全振りすることで攻撃その他の技量を補えって言ってる?」
「だってそっちの方が伸びるだろ」
……本当に何の話?
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