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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第十六章 星々を見定めるもの
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第九話 交渉と成立

「羽深さん、普賢さん。……お二人の力で、先程出て来た楽園教についての情報を集めることは可能ですか?」

「……出来るだけ秘密裏に、且つ私的に……ですか?」

「そちらで話題にする分には構いませんが、少なくとも……ヒュリスティックの上層部にはばれないように」

「……専属契約なら……?」

「星の教団がどこかに肩入れすることは許されてない。それは執行官としても同様で……教団として動くことは出来ないけれど、個人としてなら」

「肩入れ……?」

「肩入れ……」

 肩入れ……になるのか?純粋にヒュリスティックの上層部にばれないように調べるだけなら中立と言ってもいいような気がするんだが。情報源の問題なんだろうか。

「別に……肩入れすることにはならないんじゃない?」

「本来ならな。ただ、ひびきさんの救出を念頭に置くと……」

「ああ……」

成程、目的に私情が混じってしまうのが問題なのか。事情としては理解出来るが状況としては厄介と言わざるを得ないな。そもそも先に手を出したのは楽園教の方なのだから私情を抜きにしても救出は必要、ということに出来ないんだろうか。

「一応扱いとしては私情として……”羽深リトの関係者を探す”という名目で。京極家からも何も言われていないということは、本当に闇に葬られている可能性があるので」

「分かりました。……私が言うのも何ですけど、無理はしないでくださいね」

「大丈夫です。幾ら楽園教でも、星の教団に手を出すようなことはしないと思うので」

 最初から中立組織と明言しているということは、その立場を貫けるだけの実力があるということだ。最初期のヒュリスティックに大打撃を与えるほどの組織だろうと、流石に星の教団相手では分が悪いのか。

「出来れば不審に思われない方が都合がいいのですが……そうだな、アカデミーで発生していた研究部門の介入を隠れ(みの)にして……?」

「でもそうなると直接関わるのは研究部門になる……」

「実働、しかも重戦闘区域に直接連絡を取り合うとなると……」

「……あ。組織とはちょっと違うんですけど、現世にいる天音のなりすましの件はどうですか」

「成りすまし?」

「はい。今は天音がこちら……ヒュリスティックにいるので影響は無いと思いますが、特性を固定しようとしたときに現れていたな、と」

 今はどうなっているのか分からないが、確か天音に成り代わろうとしている相手がいるんだったな。星の教団の管轄になるのかは定かではないが、一応一般区画で起こっていることなので無関係という訳じゃないだろう。普賢さんも俺の話を聞いてこくりと頷きを返す。

「確かに、それなら被害者に報告、という形で重戦闘区域に直接連絡を取れますし…………まぁそれはそれとして状況次第では協力を打診すると思いますが」

「構いませんよ。こちらもひびきの件に関してはかなりの無茶を通してもらうことになるので」

「ではそのように」

口頭だが取引が成立したのでアランさんと普賢さんが手を取り合う。さて、これで事態が進展すればいいんだが。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

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