第三話 それは、証であり・後編
詳細を問うために俺とアランさんは揃って移動する。うっかりイデアを置いて来てしまったんだが大丈夫だろうか……スミレが特に気にしてないし良いか。てっきり自室に戻るものだと思っていたが、アランさんは医務室へと足を向ける。
「実はまだ彼……羽深リトさんの意識は戻っていないんですよね」
「心配ですね」
「ええ。いくら上位存在に干渉されたからと言っても少々影響が強すぎる」
「みぃ」
話の途中で医務室の扉を開ければ室内にいた宇月が気付いて視線を向けて来る。宇月だけしかいないというのも珍しいな、大抵藍沢先生が一緒にいるので。そう思っていたら何やら宇月は書類をもってアランさんに駆け寄ってくる。
「あ、アランさんと皇。丁度良かった、ちょっと俺藍沢先生に用事があって……」
「ええ、当分ここにいますよ」
「ありがとうございます。何かあったら連絡ください!」
慌ただしく去っていった宇月を見送り、アランさんはベッドに近付く。静かに眠っている人間……羽深リトは一見するとただ眠っているだけのように見えた。
「一応情報を。彼は羽深リト、星の教団に在籍する執行官ですね。そして、とある家に仕える有翼家系出身でもあります」
「有翼家系?」
「ええ。翼のある家系、個人差はあれど人でありながら天使のように空を飛び、羽根を持つ者達」
そんな家系があるのか。一般的に人型でありながら人間にはない部位を持つ者達を亜類と呼ぶことはうっすら知っていたけれど……わざわざ翼があることを強調するのは珍しいな。基本的に亜類への扱いはあまり良くないと聞いているので。
「とはいえ、羽深さん自身は何らかの事情で家から連れ出され、今はほぼ勘当状態です。きっかけは私的なものだったそうですが……教団が介入するだけの理由があったようで」
「扱いとして……あまり善いものではなかった?」
「かもしれませんね」
戦闘中も羽根自体は確認できなかった。もし有翼家系に羽根のない子供が生まれたらどうするんだろう、わざわざ連れ出されるまでは家に留めておいたと言う事は何らかの複合的要因がありそうな気もする。スミレは話を聞きながら少しだけ眉を潜めている。
「今回来る執行官は……」
「羽深リトさんの保護者、とも言っていたので連れ出した張本人ですかね」
「保護者」
「ええ、保護者」
保護者か。そう名乗れるだけの実績があるとみて良いのかな。上位存在に狙われることは早々ないと思われるが、憑依適性が高い場合は類似例に悩まされることもありそうだ。根黒さんの例を鑑みると……本当に憑依適性が高い故に利用価値があると見做されていた可能性が少しある。
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