閑話その26 遣霊大興奮・後編
室内は思ったより広かった。きょろきょろと内装を見渡していればゾエさんに手を引かれたので大人しくついて行く。志葉さんとアランさんは来たことがあるのか真っ直ぐにとある部屋の扉を開けた。
「……何か内装変わってません?」
「本人の要望ですね」
拘りなんだこの内装。勧められるまま椅子に座れば、龍もいそいそとテーブルの向かいに浮かぶ。……流石に椅子は用意できなかったのかな、布袋さんに頼めば割と嬉々として作ってくれそうではあるけれど。
「それで……ええと」
「はい。こちらがゾエさんで、彼はテオさんです」
「……」
「初めまして、テオです」
「俺ゾエ」
じっと俺達を見つめる龍。やがてそっと頭を近付けて来たかと思うとすりすりと頬を寄せられた。ひげが当たってくすぐったい。
「んいー……」
「懐かれてますね」
「俺の!」
「(ぺちぺち)」
ゾエさんが俺を抱え上げたので龍と距離が出来る。おかしいな……最初の予定だとゾエさんの確認するはずだったと思うんだけど……何故か双方に興味がなさそう。龍がゆっくりとテーブルの向こう側に戻ったところで、アランさんがゾエさんを促して椅子に降ろしてくれた。
「……」
「め!」
「どういう反応なんだそれは」
「譲れないものがあるんですかね」
「(すーん)」
「?」
降ろしてくれたのは良いんだけど、ゾエさんが自分の席に戻らない。スミレくんがやれやれと言った風に首を振ってから志葉さんの腕を叩いて椅子を寄せた。
「ゾエ、座れ」
「とられる!」
「ゾエさん、よく気配を探ってください」
いやいやと首を振っていたゾエさんだけど、アランさんに促されて静かになる。気配を探る……っていうのは何だろう、気になったので俺も少しだけ探ってみたけれど、なんだか酷く気配が曖昧で良く分からなかった。
「……!いる?」
「ええ。いますよ」
「気付いてなかったのか」
「何の話ですか?」
「龍が連れてる人の話」
連れてる……人?誰か他にもこの家の中にいるということ?さっきの気配察知では判別出来なかった、でも志葉さんとアランさん、そしてゾエさんが同じ判断をしたということは……俺が分からないだけで、どこかにいるという事なのか。
「(こてん)」
「ん。……もしかして、テオは分からないのか?」
「え、はい」
「ああ……多分それは」
「(ぺちち)」
「おっと。……成程?」
「何が成程なんです?」
「いえ。……恐らくテオさんが分からないのは、気配の捉え方が違うからでしょうね」
「捉え方が……」
アランさんにそう言われてもう一度龍を見つめる。穏やかな瞳は何処までも凪いでいて、どこか、俺を通して誰かを見ているような気がした。
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